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挫折ばかりだった僕が立て直した人生  作者: 桜影 はる(さくらかげ はる)
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鬼の形相のおねいちゃん

「いたたたた。ママ優しくしてよ」


「動いたらやりにくいでしょ。じっとしときなさい」


ママは傷だらけの僕を見て最初はびっくりしていたが、今は落ち着いて手当をしてくれている。


「それで結局問題は解決したのかい?」


「うん!!パパ、浩二君とマー君達6年生が助けてくれたんだ!!」


「お前はいい友達に恵まれたな!! 今度その友達が困っていたら絶対に助けるんだぞ!!」


そう言って、パパはテレビを見始めた。


「うん!!もちろんだよ!!」


手当が終わった僕は、夕食までの間2階の子供部屋で過ごそうと階段を駆け登った。


今日は、本当に大変な1日だったなぁ・・・


ベッドに横たわり独り言を言うと、温かい風が吹き込んできた。


「おじいちゃんに会いに行く?」


「いい所に来てくれた、ミーサー」


僕は、ベッドから飛び起き、ミーサーの額に手を置いた。


「おじいちゃん聞いてー!!今日も大変な事があったよ!!」


そう言って病室のドアを勢いよく開けるとおじいちゃんは、少し苦しそうな表情でベッドに横たわっていた。


「お、おじいちゃん、大丈夫? 」


「大丈夫さ。まだまだわしにはやらねばいけない事が残っているからのう。ところでりょうちゃん、何があったんじゃい?」


そう言って、ベッドに横たわったまま僕の方を向いた。


僕は、浩二君と喧嘩した所から今日の出来事までを詳しくおじいちゃんに話した。

するとおじいちゃんは、そばにある水を一口飲んだ後、ゆっくりと話し始めた。


「りょうちゃん、人は考えで動くものっていうのは理解できるかい?」


「人は考えで動く??」


「その通りじゃ。よく考えてごらん。太一君と浩二君がトラブルになった時なぜお互いにすぐに謝らなかったんじゃい?」


「2人とも意地を張ってしまい、謝りたくないって考えたんだと思う」


「じゃあ、浩二君が学校に来なくなった理由は?」


「学校に居場所がないって考えたのかな・・・」


「りょうちゃんが、浩二君と仲直りをした理由は?」


「友達同士でいがみ合うことに抵抗があるって考えたからだよ」


「浩二君がつとむ君から君を守ってくれた理由は?」


「僕が学校に来れなかった浩二君の居場所を作ったことを恩義に感じてくれていて、今度なんかあったら僕を守ろうって考えてくれていたからだと思う!!」


「じゃあ最後に、つとむ君と喧嘩をした時なぜりょうちゃんは殴られても何度も立ち上がったんだい?」


「浩二君が何度も上級生に向かって行ってたから僕も根性を見せないとって考えたんだ!!」


・・・・・・・

・・・・・・・


「本当だ!!おじいちゃんの言う通り人は考えで動いているよ!!」


「いいかい、りょうちゃん。この“考え”ってものをよく理解しないと大変な事になるんだよ」


「どういうこと?」


「わしが君に教えた事はすべて良い考えだったと思わないかい?」


「うん!!思う!!」


「じゃあその良い考えを使って問題解決に挑んだ時、結果はどうなった?」


「良い方向で解決できたよ!!たくさんの友達もできたし学校の成績も上がったしね!!」


「じゃあ、もし今回の浩二君との問題を悪い方向の考えで解決しようとしたらどうなっていた?」


「浩二君は僕をうらむだろうね。そして上級生からいじめられる僕を放置しただろうし、それをいい気味だと思ったかもしれない。マー君や美月ちゃん、雄二君たちには愛想をつかされ誰も助けてくれなかったと思う」


「分かったかい。良いことを考えている時は良い方向に行くし、悪いことを考えている時は悪い方向に行くってことじゃ。」


おじいちゃんは、いつものやさしい表情をしながら更に話を続けた。


「人生にはその人の考えが大きく影響するんじゃ。日々の暮らしの中でどちらの道に進むかの分岐点を、すべて良い考えの方へ進める道を選択して行く事が、今後の人生を幸せに導いていく秘訣じゃ。決して悪い考えの方向に進まないように気を付けることじゃな!!」


「まぁそう言う わし も、いくつもの悪い考えのもと、間違った道を選んでしまって大変な目に合ったものじゃけどのう・・・・」


うっすらと浮かべたおじいちゃんの笑顔は、とても魅力的だった。


「りょうちゃんすまないが今日はここまでにしよう」


そう言って、おじいちゃんはいつものように眠りについた。


「おじいちゃんありがとう!!」


僕は、まだまだおじいちゃんの話は聞きたかったけど、ここでお別れをして現実の世界に戻った。


次の日の朝は、浩二君が僕を迎えに来てくれた。


「浩二君昨日はありがとう。今度は浩二君に何かがあったら、僕が助けるよ!!」


「りょうちゃんの事、親友って思ってもいいかな!! 」


「もう僕はそう思っているよ!!」


浩二君と僕は固い握手を交わした。


昨日の出来事について盛り上がりながら登校する通学路の先に、つとむ君が立っていた。


「なに?つとむ君」


「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「昨日はごめんな・・・」


そう言って僕らに頭を下げたつとむ君の後ろには、鬼の形相をした美月ちゃんが立っていた。


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