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早主と嬉一

僕の初作品の第二話です。最後まで読んでいただけたら幸いです。

「んー、、、」

目が覚めたら見覚えのないところにいた。奥からは聞き覚えのあるおじさんとお姉さんの声が聞こえてきた。思い出した。僕はよくわからないカフェでよくわからないラーメンを食べたら体が熱くなって寝てしまったんだ。しかし何かがおかしい。そうだ、かのりさんが何か起こるって言ってた。とりあえず2人のところに…ってあれ?体が動かない。声を出してみようにも全然声が出てくれない。どうしようと焦ってるところにかのりさんが入ってきた。

「あら、目が覚めたのね。」

反応しようとしたがもちろんできない。

「落ち着いて聞いてね、」

何を言い出すのだろう。かのりさんの顔が見覚えのある神妙な感じになった。

「君の体は、犬になった。」

い、い、犬⁈ありえない。僕は人だ。そんなラーメン如きで犬になるなんて科学的にありえない。焦っているのはかのりさんでもわかったのだろうか、僕のことを掴んで部屋の中にある鏡の前に連れてってくれた。

「‼︎」

そこには驚くべきものが写っていた。そう僕の体は正真正銘の柴犬になってしまったのだ。しかもかなり太ってる。

「実はねこの森の守護者は陽一君が見たっていう狸と、犬なの。」

この森に犬が関係しているということはカフェの名前でなんとなくわかっていたようないなかったような。

「ここにはね2年前まで柴犬が居たの。」


2年前の5月、柴犬の早主はたぬきの嬉一と共に杉の巨木の穴を出た。2匹は毎朝のルーティンで森の安全管理のため周回をする。早主は森の周りと近くの住宅街の、嬉一は主に森の中の安全を確認していく。早主はいつもより30分早く森を出て住宅街に向かった。ついてくる人がいないようにできるだけ早い時間にやってるのだ。歩いていると後ろからごおおぉぉぉと音がしたので振り返ってみると大きなトラックが迫ってくる。運転手は寝ていてこっちに気づかない。避けようにも避けれずに轢かれてしまった。運転手のおじさんはびっくりして逃げていってしまった。早主と心が通じている嬉一はすぐに駆けつけたものの、その時は時すでに遅し、息絶えていた。このひき逃げ事件は野良犬を轢いてしまったとして処理された。嬉一は心が通い合っていた早主を失ってしまい、姿を隠してしまった。それ以降森の管理を1匹で行っていた嬉一を手伝う形でカフェタヌキイヌの営業を始めたというとこだ。そして今に至る。


 「えーっと、要するに今の僕の姿の犬がお話の中の早主さんってことですね?」

「そうよ」

「で、一つ気になったんですけど、お二人は早主さんと嬉一さんを見たことがあるような感じで話してたんですけど、なぜですか?」

「実はわしの子供の頃2人とよく遊んだもんでね、その頃からの付き合いで手伝ってあげることになったんじゃよ。かのりも小さい頃わしと一緒にこの森に遊びにきてたんじゃよ。」

 「そーゆーことだったんですね。」

で、どうすればいいのか。少なくともこれで街に戻っていってしまえば騒がれてしまうか、無視されるかだ。無論学校にはいけない。家に帰れば受け入れてくれるかもしれないが、2度とここに来れないかもしれないのでもう元の姿に戻れなくなるかもしれない。これは元の姿に戻るまでここで生活するしかない。

 「元の姿に戻れるまでここで生活させてくれませんか?なんでもします。働かせてください。」

「最初からそのつもりだよ。陽一君使えそうだし。寝る場所とかは嬉一君に聞いて、明日から働いてもらうから今日は休むなり散歩するなりしてな。」

「た、たぬきと一緒に寝るんですか?」

「神様と一緒に寝れるようなもんなんだから。あなたも今は犬だし。」

「別になりたくてなってるわけじゃないんですけどね。」

 「じゃあ、私は今日18時に上がる予定だから、もう帰る準備するんで、また。」

中学生が犬になってるってのに、なんで無責任なんだ。とりあえず何もできないので森を探索することにした。反対側の扉からカフェを出ると目の前に野球のグラウンド一つあるかないかくらいの大きさの森が広がっていた。真ん中には遠くからでもわかるであろう杉の巨木が植っていた。根元に大きな樹洞があり、かのりさんの話によると嬉一さんはそこで寝泊まりしているらしい。どんなところなのか気になり近づいて中を覗いてみるとふさふさそうな藁が敷き詰められていた。中に入ろうとすると、

 「おい。」

後ろから突然おじさんのような低い声が聞こえてきてびっくりした。振り返るとたぬきの嬉一さんが居た。

 「あ、嬉一さん。昨日早主さんの姿になってしまった野咲陽一と申します。かのりさんに今日から嬉一さんと一緒に寝なさいと言われまして…」

「は?一緒に寝るわけねぇだろ。外に藁敷いてやるからそこで寝ろ人間が。」

口が悪いなぁ。まあ気持ちもわからないことはない。親友の犬が亡くなって、2年後にどこの誰かもわからないような人間がその親友の姿になってしかも同じところで寝るなんて、ありえない。とりあえず仲良くなれるよう頑張ろう。嬉一さんが中に入って行き、カーテンを閉められてしまった。これ以上干渉しても意味がないと思い森の探索をすることにした。森には一本の小川が流れていた。中にはフナやメダカ、ウナギなどの淡水魚に加え、タガメやゲンゴロウなどの昆虫もいた。案外生物は沢山いるんだな。源流は滝になっていて上が確認できない。先っちょは池になっていて鯉など少し大きめの魚も居た。しばらく川中を眺めていると物音が聞こえた。小川の向こう側だ。中2になってやった体力測定では立ち幅跳びで250cmを記録した。脚力にはかなり自信がある。5mほどの助走をつけて、ジャンプした。しかし意外と距離があって落ちてしまった。くーっ、毛がびしょびしょになってしまったが、最近暑くなってきてたので少し気持ちいい。とりあえず岸に上がって林の方に向かった。奥になんかいる。恐る恐る近づいてみるとそこには3匹の違う種類の動物がいた。一番右は鹿だ。薄い茶色に白の斑点模様。奈良の奈良公園で見た種類と同じだろうか。鹿せんべいをあげた時に服を思いっきり舐められたり追突されたりうんちを踏んでしまったりであまりいい思い出ではない。ここの鹿は大人しいことを祈ろう。そして真ん中に居るのはブタだ。かなり白に近いピンク色の体にまんまるの鼻。あまり好きなブタのタイプとかがある人は少ないかもしれないが僕はこのブタがかなりタイプだ。そこまで詳しくはないが確かブタは険しくはなくフレンドリーなイメージがある。是非仲良くなりたいところだ。そして最後、一番左に居るのはキツネだ。綺麗なオレンジ色と白の体。吊り目で怖いイメージがあったのであまり好きではなかったが、実際見てみると案外可愛いのかもしれない。キツネについて聞いた話だと警戒心が強くすぐ逃げるとか凶暴で襲われるとか色んなことを聞いたのでよくわからない。とりあえず変に刺激するのはやめておこう。別のところを探索するか。


森の周りを反時計回りに歩いていると地面に大きな影が写った。すかさず上をみると大きな鳥の影があった。田舎のおばあちゃんの家に行った時に見たことがあって名前をおじいちゃんに教えてもらったことがある。アオサギだ。前見たやつよりは一回り大きい。なんでこんなところにいるんだろうか。森の周り草っ原になっていて、永遠と続いている。なのでどこからきたかはわからない。偶然通りかかったのか、それともここに戻ってきたのか。そんなことを考えているうちにアオサギは反対側に行ってしまった。アオサギの観察は後でするとして、また探索を再開した。周りを見渡すと来た方向と反対側に若干太めの木の樹洞の中から視線をかんじた。近づいてみると少し大きめのモモンガが顔を出した。かなり可愛い。今の所警戒してるような様子は伺えなかったから、もう少し近づいてみよう。あまり大きい音を立てないように忍足で近寄る。目の前に行ってもモモンガは逃げなかった。撫でたくなって手を伸ばした時、その手を振り払われた。

 「気安く触るな人間が。」

も、モモンガがしゃべった⁈すこし喋り方が嬉一さんに似てる気がする。

 「そこまで驚かなくていいだろぅ。嬉一さんっぽいことを言って少しだけびっくりさせたかっただけなんだから。」

そう言ってモモンガは愛嬌よく笑った。

 「人間の言葉喋れるんですね。」

 「ああ。私はモモンガの武丸。この森の精霊だ。主にこの森の存在を維持する役割を持っている。」

へぇー、かなり大事な役割じゃん。

 「凄いですね。」

「君はこの森にきたばっかなんだろ?かのりから話は聞いてるぞ。色々災難だったな。折角だからこの森のを案内してやるよ。この森はたくさんの動物がいてみんなに名前がついていてみんな人間の言葉を喋る事が出来る。」

「え、じゃあさっきの鹿さんや熊さんも喋れるんですか?」

「もちろんだ。」

「マジかよ…」

あの子たちが喋れるとは想像もしていなかったのでびっくりした。とりあえず色々紹介してもらう事にした。

第二話はどうでしたでしょうか。第三話もございますので是非読んでいただきたいです。

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