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第七十九話 せっかく異世界に来たんだから、怒られよう。

よろしくお願いします。


面白いと思っていただけたら、ブックマークと☆☆☆☆☆を★★★★★にお願いします。


『もう、僕たちはダメなんだ』


松山くんは休憩中の壁にもたれて頭を抱えていた。

ギガントとの一件の後、迷宮からまだ出れずにいた。

俺はこの間に二度の睡眠をとった。

大体二週間ぐらいが経ったのだろう。

一度階段は上ったが、それ以降出口に続く階段が見つからなかったのだ。

同じような道を何度も進んで俺ですら気がめいりそうだった。

だが、幸いなことにギガントはあの後、ほとんど出くわすことは無かった。

ギガントたちも警戒しているのか?


『水をもらってもいいですか?』


『ああ、どうぞ』


俺は東雲さんに水を渡した。

このダンジョン生活で何度も水魔法と火魔法を使っていたので、いつの間にかそれぞれレベル2づつ所得していた。

そして、精神的苦痛耐性も。


『かえ、れるの、でしょうか?』


東雲さんは不安そうに俺に聞いてくる。

その目には生気が見えない。


『大丈夫、帰れるよ』


『なんだよ! なんの根拠があってそんなこと言えるんだよ!』


『やめて、化け物が来るでしょ」』


松山くんがそう叫ぶと、東雲さんが彼を諫めた。

根拠なんかない。

だが、大丈夫。

そう言い聞かせていないと、俺も心が俺そうだった。


「誰かいるのか!?」


松山くんの叫びに通路の向こうから声が聞こえる。

そして、目の前に現れたのはハーキスタ家の家紋の彫られた甲冑を着た騎士だった。


「大丈夫ですか?」


『すみません、ありがとうございます』


「え?」


俺に手を伸ばしてきた騎士が首を傾げる。

ああ、そうか。

長いこと日本語を使っていたせいで、間違ってしまった。


「すみません。ボルヴァード・フォルトロン・ハーキスタです」


「よかったです。おい、若様が見つかったぞ!」


騎士のその声に多くの騎士たちがに集まってきた。

その騎士たちに東雲さんたちが驚く。


『東雲さん、大丈夫です。彼らは俺の仲間です』


その言葉に二人とも気が抜けたのか二人とも泣き出してしまった。

二人は騎士たちに背負ってもらう。

そして、騎士の案内通りに歩いていくと、そこは俺が飛ばされた入り口の広間だった。

外から眩しい光がこぼれる。


「ああ、やっと終わったか」


そうつぶやいてダンジョンを出「ルヴァン!」

出るとそこにはリリシアが立っていた。

しかも、大変お怒りのようだ。

でも、数発殴られても仕方ないな。

それだけ心配かけた。

強い足取りでリリシアが近づいてくる。


「ん!!」


唇を重ねてきたのだった。

俺は予期せぬ展開に頭が真っ白になる。

だが、そんな俺のことなどお構いなしに舌が入ってくる。

絡み着く感触に思考がショートしてしまう。

どれくらいそうしていたのか分からない。

唇が離れていき、やっと空気を吸う。


「まだ、こんなんじゃ済ませませんから」


「はい」


周りにいた騎士たちは笑顔で俺達を見ている。

一人の年老いた騎士がサムズアップして言った。


「リシャリア様にはお孫様も近いと伝えておきます」


その言葉を否定できない俺がいるのだった。

一緒に出てきた二人が気になって振り向く。

すると、松山くんは顔を逸らして耳まで真っ赤にし、東雲さんはニヤニヤと笑っていたのだった。


『最近の子供は進んでますねえ』


『そういうのはいいから、体調は大丈夫ですか?』


『うん。ちょっと体がだるいけど」


『お、おれも』


松山くんはぶっきらぼうに答えるのだった。

二人は傷も多かったので、外相確認の為騎士たちにテントに連れられて行った。

そういえば。


「ノンノは?」


「今、ギーレン公から貸していただいてる屋敷で、マナーの授業とか受けてる。ネコタも一緒に残ってもらってるわ」


「そうか」


「ノンノには伝えてない。あんまり小さい子供に心配かけるのもどうかと思ったし」


リリシアは色々と考えてくれているようだ。

そういえば、ギーレン公爵家の騎士もいるようだ。

多くの人に迷惑をかけたのだろう。


「でも、捜索開始した日に見つかってよかったわ」


「そうなのか?」


「ルヴァン、ダンジョンを大々的に壊したでしょ。ダンジョンは壊れると自身で修復しようとするんだけど、これ以上壊れないようにって中に誰も入れないように入り口を閉じてしまうの。更に修復に必要なMPをダンジョン内から補填するから、ほとんどのモンスターも息絶えてしまうんですって」


「魔力を吸われていたから、怠かったのか」


「私も今回の事で初めて知ったの。歴史の中でも数回しか起こったことが無いから、あまり記録には残っていないみたい。でも、あなたが生きていてよかったわ」


でも、今の話でこのダンジョンには何のうまみもないことが分かった。

ダンジョン修復のために魔鉱石もほとんど残ってない。

モンスターも魔力を吸われても生き残れるような強いやつしか残っていない。

しかも、巨人種だ。


「ギーレン公爵はこのダンジョンをどうするととか言ってたか?」


「巨人主なんて危険だから封鎖するしかない、監視で騎士は置くと言ってました」


「なら、壊してしまっても問題ないな」


残っていた酒を飲み干す。

更に騎士に頼んで追加のお酒を持ってきてもらう。


「どうするの?」


「すぐ終わる。騎士たちを離してくれ」


「分かった」


ダンジョンの入り口で術式を展開する。

そして、神格化で溢れ出るほど膨らんだMPを術式に乗せた。

俺はずっとこのダンジョンに閉じ込められてる間、絶対に壊してやる、破壊してやると考えていた。

その思いが生んだ俺の魔法を発動する。


「〈プリフィケーションノヴァ〉発動!」


魔法陣から溢れ出る眩い光がダンジョンを包んでいく。


グオオオオ!


ダンジョン内から雄たけびのような音が響く。

俺は急いでダンジョンから出るとすぐにダンジョンは閉じてしまった。


「なんの魔法を使ったの?」


「よくわからないけど、聖魔法の〈浄化〉に近いような魔法だとおも(ドーーーーン!!)


ダンジョンがあった場所から大きな音と白い光が天にも届くほどに噴出する。

それを見上げて、またやってしまったと反省するのだった。




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