表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/97

第七十一話 せっかく異世界に来たんだから、女心は理解しないと。

よろしくお願いします。

面白いと思っていただけたら、☆☆☆☆☆を★★★★★にお願いします。


朝の陽ざしが差し込むころ俺は庭で武術の練習をしていた。

せっかくレベル10になったスキルなのだ。

レベルが落ちるのはもったいないと朝起きて朝食ができるまでの時間を鍛錬の時間に費やしていた。


「お兄ちゃん、もうご飯だって」


「分かった今行くよ」


最近ノンノは早起きするようになった。

ほんの少し前まで朝ご飯の匂いで起きていたのに、今では朝ご飯の準備の手伝いをしているのだ。

子供の成長は早いな。

感動のあまり涙が出てきそうだった。


「ルヴァン、お帰り」


「おかえりなさいませ」


家の台所ではリリシアとジェーンさんが朝ご飯の準備をしてくれていた。

リリシアは俺のお嫁さんになるんだと張り切って、この村に来た日の翌日からジェーンさんに教わりながら朝食を作ってくれているのだ。


「今日は、失敗しなかったわよ」


そう言ってリリシアが出してくれたのは少し焦げた目玉焼きだった

一ヶ月経ってやっと卵を殻を入れないように黄身を割らず焼くことができるのだ。

正直言ってスゴイ。

俺は一ヶ月やっても卵を割ることはおろか、焼こうものなら黒ずみにしてしまう。


「リリシア、いつも頑張ってくれてありがとう。大好きだよ」


「もう、ルヴァン」


こんなに幸せでいいのだろうか?

少し怖くなる。


「それじゃ頂きま「おかわり」


リリシアの朝食を食べ始める声を遮ってスピレイが空になった皿を差し出してきた。

その皿にサラダや焼き立てのパンがジェーンさんによって用意される。

さすが、ハーキスタ家のメイドさんだ。

仕事が早いし、とても丁寧だ。

朝食を初めて少し、遅れてシラユキが自分の部屋から出てきた。


「おはよう」


「うん」


今日もシラユキは機嫌が悪そうだった。

最近はジェーンさんとリリシアが家事をやってくれているので、シラユキは俺の仕事の方を手伝ってもらっていたのだ。

主に会計や商品の在庫整理だ。

ただ、俺が帳簿を今までつけていなかったので、シラユキに整理してもらって何が赤字になっているのかなどが一目でわかるようになった。

だが、今までの帳簿も徹夜でつけてくれているのだ。

それで最近起床がおくれていた。


「シラユキが一緒に仕事してくれるようになって、助かるよ」


「……。どういたしまして」


シラユリはそっけなかった。

でも、こんな関係のままは嫌だ。

ここはいつもの感謝を言葉にしよう。


「いままで、シラユリにばかり家事をまかせて申し訳ないと思ってたんだ。ありがとう。これからはゆっくりしてくれ」


その言葉にシラユリが眉間にしわを寄せる。


「別に苦しいなんて思ってなかった」


「そう言ってもらえると俺もうれしいけど、やはり自分の時間も大切だと思うし」


「好きでやってたことだって言ってるじゃない!」


急な大声で思わず言葉を失ってしまう。


「ねえ、私はルヴァンにとって何?」


「大事な家族、かな。お姉さんとかいたら、こんなだったのかなって」


「……。あっそ」


シラユキはそう言って、視線を逸らしてしまったのだ。

それを見てリリシアは呆れたようなため息をつく。


「お兄ちゃん、女心を少しは分かってあげないと、ダメダメだよ」


「……ノンノ」


三才も下のノンノにも俺は間違っているようだ。

何がいけなかったのだろうか?

少し考えたが分からない。

アルマルデ様が死んでやり直さないと女心は俺には分からないと言われたことを思い出して、諦めるのだった。

しばらくの沈黙が訪れる。


「これ、美味しい。リリシアお姉ちゃん」


それでも、ノンノは平常運転でサラダを食べて嬉しそうに笑うのだった。

確かにノンノの言う通りいつもと違うドレッシングだ。


「最近、王都の方で新しく流行ってるソースなの。サラダにももちろんお肉なんかに付けてもおいしいんだって、他にも最近は絹って生地を使ったドレスが流行ってて」


リリシアが王都の話をするのをノンノは目を輝かせて聞いていた。


「王都、行ってみたい!」


「ノンノちゃんはこの村以外を知らないんだね」


「うん!」


リリシアとノンノの会話を聞いていてふと思い出す。


「あ、でも。そろそろ、ノンノもそろそろ十歳だし、年末の闇無の月には天職をもらいに行かないとな」


「王都に行くの!?」


「う、う~ん。王都は遠いからな。ハーキスタの町かな」


俺がそう言うと、リリシアが首を傾げる。


「ここって、ギーレン領よね? ギーレンの町じゃないの」


「ああ、いや。それは」


俺が言葉に詰まる。

助けが欲しくてシラユリを見るが、目線を合わせてくれない。

助けてはくれないようだ。

……本格的にに嫌われたのだろうか。


「それよりなんで?」


「え!? あ、その……」


「ねえ、リリシアさん。誰しもあまり聞かれたくないこともあるんだし、それぐらいにしたら? しつこい」


今まで黙っていたシラユリが口を開いたのだ。

だが、その言い方は。


「シラユリさんこそ。あなたも変わらなければ一生そのままです。もう少し、素直になられたらどうですか?」


「なによそれ」


「そのままですわ。私は側室は一人まではいいって言ってるのに」


「わ、私は! こんなやつ!」


ふと、シラユリと目が合う。

だが、怒りに満ちたその瞳で俺を睨む。

そんな視線に耐えられずに俺は目をそらしてしまった。


「もう、この家を出てく」


シラユリの言葉に俺は頭が真白になった。


「え?」


止める間もなく、シラユリは出て行ってしまったのだった。

ノンノが心配そうに俺を見ている。


「だ、大丈夫だ」


何が大丈夫なのか分からないが、ノンノにではなく自分に言い聞かせるように呟いた。

でも、この村はみんな家族みたいなものだ。

何かあれば助けてくれるし。

それに、シラユリが帰ってくる場所はここだ。

しばらくすれば、戻ってくるだろう。

その時はそう思っていた。


「俺は仕事に行ってくるよ」


俺は途中で朝食を切り上げて仕事に行くのだった。

この日は特に薬草の採取等の仕事は無かったので、教会で調合をしていた。

いつもなら、冒険者が回復魔法を求めて数人くることがあるのだが、今日は全然来なかった。

その為、調合も午前中にすべて終わってしまったのだ。

久しぶりに本気で魔法の練習をしに森まで行こうとした時だった。


「おう、ルヴァン」


森へ行く準備をしていると、いつのまにかガンツが教会に入ってきたのだ。


「どうしたんだ?」


「一言言っておこうと思って」


「何を?」


「俺、シラユリに好きだって告白する」





次回予告!

ガンツがシラユリに告白すると告げられたルヴァン。

そして、夜になっても帰ってこないシラユリ。

二人の未来はどうなるのか!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ