第七十二話 せっかく異世界に来たんだから、決心する。
よろしくお願いします。
面白いと思っていただけたら、☆☆☆☆☆を★★★★★にお願いします。
シラユリは元々村に住むつもりはなかった。
クロクリ、スピレイと一緒にギーレンの町で過ごす予定だった。
その為、クロクリは三人用の宿を借りていたし、シラユリもギーレンの町で働いていた。
最初はギーレンの町ではノンノを育てるつもりだったが、ここは育てるのに環境が悪いと判断した俺は今住んでいる村に移動する。
ギーレンの町を出る日、シラユリは届け物の配達の仕事で、同じ馬車に乗って同じ村に向かっていた。
「あんた、ちゃんとその子育てられるの?」
俺の隣にはまだ小さなノンノが座っていた。
この子は。
「俺の贖罪の為だから」
「はあ、そんな理由で育てられたらその子が可哀そうよ」
呆れたようにシラユリはため息をついてそう言った。
そして、俺の隣に座るとシラユリは
「仕方ない。心配だから少しの間だけ、様子を見て上げよう!」
「は?」
「別にあんたの為じゃない。ノンノの為なんだから勘違いしないでよ」
「でも、仕事は」
「元々、今やってるのは短期だから、これやったらお金貰ってやめるわ」
「クロクリだってどうするんだ?」
「説明すればわかってもらえるわ」
「……ごめん」
「さっきも言ったけど、これはノンノの為だから」
「ありがとう」
本当は子供を育てるなんて前世も含めて初めてだった。
正直なところ俺自身も不安でしかなかった。
そして、シラユリの不安は的中するのだ。
「なんで、まともにご飯が作れないのよ!」
「ごめん」
二歳のノンノは俺の〈介助〉、〈介護〉である程度の物は食べれるようになっていた。
でも、食べれないものも多かった。
それを意識しながら、食事を作ったのだが。
全部炭にしてしまったのだ。
「私がやるから、ノンノちゃんが食べれないもの教えて」
「小麦と乳製品、水もなるべく使わないように」
「……。ねえ、それって」
「ノンノはアレルギーが多くって。〈介護〉で治してはいるけど、この三つは今だに炎症反応が出てて」
俺が初めてあったころはアレルギーのせいでノンノはいつも咳をして、喉がただれ、ジンマシンが出ていた。
〈介助〉、〈介護〉である程度直しても、アレルギー反応が出ているという事はどれだけノンノは今まで辛い生活をしていたか火を見るよりも明らかだった。
「それで、ルヴァンは仕事もするんでしょ」
「そう、だな」
「仕事中この子はどうするの?」
「仕事場で一緒に」
「もう、考え無し!」
シラユリの言う通りだった。
今の状態のノンノを一人にしておくのはかなり不安だった。
でも、働かなければノンノを餓死させてしまう。
「私の分も働いて」
「え?」
「私がノンノちゃんの面倒を見てあげるから、私の分も働きなさいって言ってるの! 分かった!?」
「でも、いいのか?」
「しょうがないでしょ。それともほかに当てはあるの?」
王都の教会に助けを請おうとも思ったが、今の状態でノンノが王都までの道のりを耐えられない。
それに、情勢が安定していない教会に戻っても、迷惑をかけてしまう。
「シラユリ、助けてください」
「まかせて!」
そして、シラユリと二人三脚でノンノを育てるのだった。
最初はノンノの症状が安定したら、シラユリを解放してあげよう。
そう思っていたのに俺はずるずると、シラユリのやさしさに頼り切っていたのだ。
本当に俺はどうしようもないやつである。
「でも、シラユキが幸せになるのなら」
今のガンツはいいやつだ。
あいつと一緒になれば。
「なんでだよ、なんで」
涙が出てくる!?
俺はリリシアが好きで、婚約もした。
でも、なんで、シラユキがガンツと一緒になると思っただけで。
「お兄ちゃん。だじょうぶ?」
「え?」
いつの間にかノンノが心配そうに俺を覗き込んでいた。
気づくと外はすでに日が暮れていた。
教会も火をつけていないので真っ暗である。
「いたいの?」
「痛くは無いよ」
「では、なんで泣いてるの?」
その声に顔を上げるとリリシアがそこにいたのだ。
俺は腕で無理やり涙を拭きとる。
「ごめん。家に帰るから」
「ねえ、このままでいいの?」
リリシアは俺の隣に座って、手を握ってくれる。
だが、今の状況が申し訳なくてリリシアから視線を逸らしてしまう。
「私は本当は側室なんて嫌なの」
「ごめん」
「でもね。シラユリはずっと三年間、ルヴァンを側で支えてきたから。頑張ってきたあの子だったら仕方ないって思えたから、一人だけ許したの」
「リリシア?」
「言っときますけど、シラユリ以外の側室なんて認めないから。それと、私が一番なんだから、間違えたら、ん――!」
俺は思わずリリシアにキスをしていた。
「大好きだ、リリシア」
でも、シラユリも好きなんだ。
前世の常識から考えれば二股である。
最低な人間だ。
今まで俺を支えてくれた二人だから。
ずっと一緒にいたいと思えた二人だから。
「リリシア、改めて言う。俺と一生一緒にいてほしい。病める時も、健やかなるときも、ずっと!」
「はい、一生隣にいます」
「でも、シラユリも好きなんだ。だから、ありがとう。俺、シラユリにもこの気持ちを伝えていいか?」
「もう、私が止めたって意味がないのに」
そうだな。
もう一度リリシアにキスをすると、俺は走り出したのだった。
次回予告!
自分の気持ちに気づいて、決心したルヴァンはガンツが告白する前にシラユリに思いを伝えることができるのか!?
次も読んでくれよな!
明日の更新は遅くなります。
すみません。




