第13話:選ばれし者ではない、“外れ者”の運命とは
「あなたの《強運》は……本来、存在してはならない祝福」
パン工房の老婆、元時術士アミュレットの言葉が頭から離れなかった。
「この世界に存在する“運”という力は、神々が“調整”して与えているもの」
「けれどあなたのそれは、誰の加護も管理も受けていない。……それはつまり、“神の外”にある力ということ」
《観測外》
神々ですら“見えない”。だからこそ“干渉できない”。
「でもね、ユウト。運という力は、時に“世界の法則”すら歪める」
老婆の瞳が、ほんの一瞬、黄金に輝いた。
「気をつけなさい。世界は今、あなたという“異物”に気づきはじめている」
一方、王宮の書庫。
アリシアが手にした古文書には、こう記されていた。
《かつて、世界を歪めた“運命喰らい”がいた》
《その存在は、誰からも祝福されず、誰の手にも負えず——だが世界を救った》
「……まさか、ユウト君が……?」
ページの端には、“時間魔術”で隠されていた名が浮かぶ。
《ユート=アムネジア》
(※異世界転生前の名前に酷似)
その名を唱えた瞬間。
王宮全体に、かすかな振動が走った。
そして、魔王城——
「……ようやく、動き出したか。“運命の外”の者よ」
暗黒の玉座に座る影が、目を開ける。
その目は、まるで……“誰かを待っていたかのように”。
──やがて運命は交差し、記憶は蘇り、選ばれなかった“外れ者”は、
この世界すら欺き、“真実”を掴みに行く。




