第14話大切なフレンド
最高権力を手に入れた僕は、この国から「他者を虐げる不要な組織」を徹底的に排除していった。
かつてシャロンを脅した料理ギルドのような腐った利権団体は、すべて解体。実力と熱意のある平民が、自分の力だけで正当に評価される仕組みを整えた。
魔法も、ステータスを示すシステムも存在しない世界。
だからこそ、人々は自分の手で汗を流し、自分の頭で考え、誰かと手を取り合って生きていく。その当たり前の営みが、今のこの国には満ちていた。ニーナは工房を切り盛りしながらも、王宮直属の服仕立て人として、働いてくれている。
「ルーク様、少し街を歩きませんか? 今日の市場は、いつもより賑やかみたいですよ」
ニーナが僕の腕にそっと手を添え、上目遣いに提案してくる。
ふと見ると、彼女はいつもより少しだけ大人びた、綺麗なドレスを身に纏っていた。自分で仕立てたのだろう。
「うん、いいね。シャロンも一緒に行こう」
「へへ、もちろん! 新しくできた屋台の偵察もしなきゃいけないしね!」
シャロンは、新しくいくつもの店をかまえ、今は王宮メインに働いてくれている。
シャロンが僕の反対側の腕をぎゅっと抱きしめる。
両手に花、というには少し贅沢すぎる状況に苦笑しつつも、僕は彼女たちを連れて王宮の外へと歩き出した。
街に出ると、至る所から僕を呼ぶ声が聞こえてくる。
「あ、ルーク様だ! ルーク様、こんにちは!」
「おい、新しい領主様だぞ! いつも美味しい飯が食えるのはルーク様のおかげだ!」
領民たちの顔には、かつて悪徳貴族ハロルドに怯えていたような影は微塵もない。
僕が彼らを大切に思い、彼らもまた僕を信頼してくれる。
脳内の画面を展開すると、街の人々、そして国民たちの名前の横には、温かい緑色の【良質なユーザー(国民)】のマークが、無数に、どこまでも並んでいた。
僕の視界を邪魔するクズをすべてミュートし、自分を信じてくれる本物の人間だけを残した結果、この世界はこれ以上ないほど居心地のいい場所に生まれ変わったんだ。
「ねえ、ルーク。私、あんたと出会えて本当に良かった」
賑やかな市場の真ん中で、シャロンがふと足を止め、真剣な瞳で僕を見つめた。
「私もです、ルーク様。貴方が私の手を引いてくれたあの瞬間から、私の世界は全部、新しくなりました」
ニーナもまた、僕の腕を握る手に力を込める。
2人の純粋な想いが、僕の胸をじんわりと温めていく。
「僕の方こそ、ありがとう。2人がいてくれたから、僕は自分の人生を楽しいって思えるようになったんだ」
僕は青く広い大きな空を見あげた。
(まだここからだ。やるべきことは領主としてたくさんある。)
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次回、最終回お楽しみに!




