第15話世界はいつでも僕たちの思い通りに
王宮の大広間は、かつてないほどの熱気に包まれていた。
今日は、新しい国の始まりを祝う、建国記念の大晩餐会。
中央の長いテーブルには、シャロンが指揮を執って作り上げた極上の料理が並び、集まった人々が楽しそうにグラスを掲げている。
そのすべての衣装をデザインしたのは、ニーナだ。彼女が手がけた美しい衣服が、会場を華やかに彩っている。
僕は、玉座の前に立ち、集まった人々を見渡した。
かつて僕は、武才のない無能として実家を追放され、婚約者からはゴミのように捨てられた。
誰も僕の言葉に耳を傾けず、誰も僕の価値を認めようとはしなかった。
けれど今、僕の目の前には、僕を心から慕ってくれる本物の仲間たちがいる。
これ以上の幸せが、他にあるだろうか。
「ルーク様、そろそろお時間です」
ニーナが僕の隣に並び、優しく微笑む。その指には、先日僕が贈った、素朴だけれど美しい指輪がはめられていた。
「うん。みんな、今日は集まってくれてありがとう」
僕が声をかけると、広間は一瞬で静まり返り、何千もの温かい視線が僕へと集まった。
「この国に、もう理不尽な恐怖や、誰かを虐げるような力は存在しない。僕たちは、僕たちを大切にしてくれる人とだけ繋がり、共に生きていく。これからも、みんなで美味しい飯を食い、綺麗な服を着て、笑い合って暮らそう」
僕の言葉が終わるか終わらないかのうちに、地鳴りのような大歓声が沸き起こった。
拍手の嵐。誰もが僕の名前を呼び、未来への希望に目を輝かせている。
「最高の挨拶だったよ、ルーク! さあ、私の特製料理、冷めないうちにみんなで食べちゃおう!」
「はい! ルーク様、行きましょう!」
シャロンとニーナが僕の両手を引き、賑やかな宴の輪の中へと僕を導いていく。
ふと、僕は歩きながら、最後にもう一度だけ、脳内のシステム画面を立ち上げてみた。
表示されているのは、僕を愛してくれる無数の【フレンド】たちの名前。
そして、画面の一番下にある、小さな設定項目。
『通知設定:不快な雑音はすべて非表示』
もう、このボタンを新しく押す必要すらないかもしれない。
僕の視界はすでに、温かくて、優しくて、愛おしいものだけで満たされているのだから。
「ルーク様、早く早く!」
「ああ、今行くよ」
僕は脳内の画面をパチンと閉じると、最愛の彼女たちの手をしっかりと握り締め、光に満ちた賑やかな未来へと、一歩を踏み出した。
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