第11話王宮からの呼び出し状
領主となって、数ヶ月。
無駄な税をなくした領地は、見違えるほど活気を取り戻していた。
ニーナの工房に丈夫な服を大量注文し、シャロンに来てもらって、作った美味い飯を食う領民たち。そこには、かつての飢えた面影などどこにもない。
「ありがたいやぁ。」
「この服はすごく丈夫でとても着心地がいいわ。」
「しかもこの飯!今まで食べたことがない。」
「やる気もでるなぁ。」
僕たちの作った、穏やかな居場所。
こんな時間がいつまでも続いていけばいいと思っていた。
が、現実はそううまくいかない。
それを踏みにじるような足音が、また近づいていた。
「ルーク・アルベイン。王宮へ出頭せよ。――宰相閣下からの直々の命令だ」
「は…?どういう…」
領主の館に乗り込んできたのは、銀色の重装鎧に身を包んだ、傲慢な顔つきの王宮騎士たち。
彼らが突きつけてきた書状には、僕の爵位と領地を「王命により没収する」と記されていた。
裏で糸を引いているのは、この国の政治を牛耳る冷酷な黒幕、オズワルド宰相。
僕がハズレスキルも魔法もないただの無能だと高を括り、美味しくなったこの領地を、力ずくで横取りしようという魂胆らしい。
「拒否すれば、王宮騎士団を動かしてこの街を焦土にする。大人しく従え」
(はっ…なるほどね…)
騎士の言葉に、館の隅で控えていたメイドが青ざめ、専属の執事は握る手にぐっと力を込める。
どんなに領地を豊かにしようが、国の頂点に立つ権力者が「奪う」と言えば、一瞬で踏み潰される。それが、この現実世界の残酷なルールだ。
「……上から目線で人のものを奪うクズは、本当にどこにでも湧くな」
「面白い…相手してやるよ…」
僕はため息混じりに、脳内の画面を呼び出す。
王宮、オズワルド宰相。その名前の横にある項目を見つめ、僕は小さく口角を上げた。
「いいよ。そこまで言うなら、王宮へ行ってあげる」
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