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『現代日本にダンジョンができたので、税金対策しながら爆速で億万長者を目指してみた』  作者: Testament


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第3話:自動化(ルンバ)の爆誕と、3000万円の見積書

「……よし、『合同会社クロキ・ダンジョンロジスティクス』の法人登記、完了だ」


アパートのPC前で、蓮は満足げに胸を張った。

彼が構築したのは、知る人ぞ知る合法節税スキーム『マイクロ法人×個人事業主の二刀流』だ。


設立した合同会社から自分に支払う役員報酬を最低額(月額6万円)に設定することで、社会保険料を格安に固定。その上で、大きな利益が出る個人事業主側の節税を徹底的に進める。


「税金で年間数千万円損するか、数万円で済ませるか……知識の差がそのまま生存率に直結する。ダンジョンより現代の税制の方がよっぽど容赦がないな」


税制上の防御を固めた蓮が次に取り組んだのは、業務の「自動化と効率化」だった。


メディカル・コア社との契約により、月間400個の魔石納品が必要になった。手作業による抽出自体は30秒で終わるが、問題は「広いダンジョン内を徒歩で移動し、スライムを探し回る時間」だった。


「1日4時間の歩行労力……自分が歩き回っているようじゃ二流エンジニアだ」


蓮は秋葉原のジャンク街で基板や小型ノズルを買い込み、リサイクルショップで手に入れた型落ちのお掃除ロボット(ルンバ型)を解体・改造し始めた。


【レシート発行】で解析したスライムの波動データをプログラムへ書き換え、ダンジョンで拾った低級魔石を動力源として組み込んでいく。


**【自作魔法具:スライム自動回収機『ルンバ1号』】**


* **機能:** 前方3メートルのスライムをセンサーで感知。自動で接近し、自作のろ過液を霧状に噴射して体液を分解。内部ストレージへ高純度魔石核のみを吸い上げて回収する。


◆


深夜2時。人のいない高島平ダンジョン。

物陰に隠れた蓮は、ルンバ1号のスイッチを入れた。


『ウィーン……プシューッ(ろ過液噴射)……コトン(魔石回収)』


滑らかな音を立てて走るルンバ1号。

他の探索者たちが泥まみれになり、命がけで100円の魔石を探している横で、ルンバ1号は静かに、確実に、1個4万5,000円の宝を吸い上げていく。


「物陰でスマホをいじっているだけで勝手に残高が増えていく……!」


蓮はダンジョンの壁に背を預け、株や不動産投資の勉強を始めた。

ロボットが健気に稼いでいる間、自分は別の資産運用を学ぶ。これぞ正真正銘の「ダンジョン版・不労所得システム」だ。


朝方、ルンバ1号のストレージを確認すると、回収量は50個(225万円相当)に達していた。自分の労働時間はほぼゼロである。


「クックック……完璧だ」


満足げに笑う蓮。だがその時、ダンジョンの深層から地鳴りのような足音が響いてきた。


「おい! 助けてくれーッ!!」


通路の奥から走ってきたのは、高級な漆黒のチタンプレートアーマーを纏った「B級クラン・銀翼(シルバースパイダー)」のメンバーたちだった。

そして彼らの背後から迫るのは、身の丈3メートルを超える巨躯——本来ならF級ダンジョンに存在するはずのないB級モンスター『狂乱のオーク』だった。


「なんで浅層にB級が湧いてんだよ! 死ぬ、マジで死ぬ!!」


前衛の男は片腕をへし折られて血まみれ、後衛の魔導士は恐怖で腰が抜けて動けない。浅いダンジョンだと高を括り、舐めきった装備で入ったツケが回ったのだ。


蓮は物陰からそっと手を伸ばし、オークに向けてスキルを発動させた。

この時、蓮は「オークの生物的弱点、骨格構造、過去の全行動パターン」まで極限まで詳細にリクエストした。


『ジジジジジジジジジッ!!!』


凄まじい音とともに、蓮の手元から幅50センチ、長さ数十メートルに及ぶ巨大な感熱紙(レシート)が高速で吐き出された!


「な、なんだその紙の束は!?」と呆然とするB級探索者たちを無視し、蓮は印字された明細を爆速で目視する。


---


**【お買上げ明細(レシート)】**


* **対象:** 狂乱のオーク(B級・イレギュラー)

* **構造・弱点:**

* 狂乱状態につき、**鼻腔粘膜が極度に過敏化**。強烈な刺激臭(酸性体液の霧など)を吸うと即座に呼吸不全で失神する。

* 足首の関節構造が弛緩しており、**滑りやすい床面での転倒耐性がゼロ**。



* **内訳:** 極上霜降り肉(100kg):B級幻食材(1kg:10万円)

* **参考市場価格(最高値):** **1000万円**(銀座の会員制高級レストラン)


---


「……なるほど。強固な皮膚を破る必要すらない」


蓮は吐き出されたロングレシートの端を掴むと、物陰から一歩を踏み出し、絶望する探索者たちへ声をかけた。


「そこの探索者さん。緊急救助サービスのご提案です」


「な、なんだお前は!? 逃げろ、F級の探索者が叶う相手じゃ——」


「私ならあのオークをノーダメージで無力化できます。ただし……民間救助の基本料金および危険手当が発生します」


蓮はポケットからタブレット端末を取り出し、見積書を表示した。


---


**【緊急ダンジョン救助サービス・見積書】**


* **B級モンスター討伐代行費:** 2000万円

* **危険手当および口止め料:** 1000万円

* **合算金額:** **3000万円(税込)**


---


「さ、3000万円!? ふざけるな! たかが救助でそんな金払えるか!」


「そうですか。では、ごゆっくり」


蓮が背を向け立ち去ろうとすると、オークが咆哮を上げ、折れた腕の男に向かって巨大な丸太棍棒を振り上げた。


「待て! 払う! 払うから助けてくれぇぇッ!」


「毎度あり。電子署名をここに」


タブレットに血塗られた指で署名がなされた瞬間、蓮の【レシート発行】が『契約成立』の明細を吐き出した。


「取引開始です。……『レシート・シュート』」


蓮は手元にあった**数十メートルのツルツルした巨大レシート**を、突進してくるオークの足元へ豪快に滑り込ませた!


『ズザーーーッ!!』


体重数百キロのオークが、高密度な感熱紙の上で見事に足をとられ、盛大に横転。地響きを立てて転がった。


「ぐ、ガァッ!?」


目を白黒させるオークの顔面に、蓮は静かに指示を出す。


「ルンバ1号、オークの鼻元へろ過液を全量噴霧」


『ウィーン……プシューーーーーッ!!』


ルンバ1号がオークの顔面に突撃し、スライム分解用の「酸性ろ過液の霧」を大量に噴出。

レシートの弱点情報通り、過敏になっていた鼻腔に強烈な刺激臭を吸い込んだ狂乱のオークは、「ヒギュッ!?」と情けない悲鳴を上げ、数秒と経たずにガクッと気を失って倒れ伏した。


「……え?」


呆然とするB級探索者たち。剣すら振るわず、**巨大なレシートと掃除機(霧吹き)だけ**でB級モンスターを完封したのだ。


「救助は完了しました。お支払いは後日弊社口座へ。領収書はメールでお送りします」


蓮は倒れたオークに歩み寄り、レシートの内訳に従って、傷ひとつない極上の肉部位(100kg)だけを的確に切り出し、インベントリに収納した。


「救助費の3000万円と、肉の売上1000万円。合わせて本日の利益は4000万円オーバー……良い取引でした。お気をつけてお帰りください」


茫然自失の探索者たちを置き去りにして、蓮は軽やかな足取りで出口へと向かった。


◆


その夜。

高級タワーマンションの一室(※社宅として家賃の9割を経費化)で、蓮は極上のオーク肉ステーキを焼きながらワイングラスを傾けていた。


「命の値段は、窮地に陥った人間ほど跳ね上がる。そして誰もが見落とすレシートの内訳と、紙そのものの使い方にこそ、真の金脈が眠っている……」


ジュー、と音を立てる最高の肉。

銀行口座の残高は、今日一日で桁が変わっていた。


「単発のお金稼ぎはここまでだ。次は……ダンジョンそのものの『不動産化』と『インフラビジネス』に着手するとしよう」


現代日本の法と経済、そして【レシート発行】をフル活用した蓮の「爆速億万長者ロード」は、さらなるスケールへと突き進んでいく。

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