第42話 混同する意識 ーーミア視点
血だらけのミートから逃げたミア。 次に気づいた時は、なぜかラムに背負われていたの。
ーー貴方、また会えたの。 さあ、キャスのことばかり見てないで、ミアのことをもっと見てほしいの。
そんなミアの視界には、眠っているミートがいたの。 ミアはそのことに安心したのよ。
ーーでも、なんだかおかしいの。 意識が混同するのよ。
そんなことに恐怖を覚えていたら、ミートを誰が刺したかの話になったの。
「⋯⋯じゃあ、ミートを刺したのも前国王?」
「儂を刺した? ⋯⋯うう! あれ? 私は生きているのですか⋯⋯」
ミートが記憶を取り戻したの? ミアの体が沸騰するのがわかるの。
ミアが、ミアなのにわからないのーー
「奴はミートや私たちのことを、オーガが殺したことにして、処分するつもりだったの! 酷い奴よね⋯⋯」
「⋯⋯違う。 違います。 私は前国王に刺された訳じゃないです⋯⋯」
そして、ミートが震える指でミアのこと指差してきたの。
ーーふふ、ようやく気づいたの? ミアが何をしたか、ようやく理解できたのかしら。
あんなに無防備で、誰にでも優しいのを見ていると、どうしても我慢できなくなっちゃうの。 ミアを傷つける存在や、貴方の心に入り込もうとする邪魔な女たちを、ミアが一人ずつ排除してあげただけよ。 すべては、貴方をミアだけのものにするためなの。
さあ、そんなに怖い顔をしないで。 貴方の手は、もうミアのものなんだから。
ねえ、ミアの手を取って、二人きりの世界へ逃げましょう?
「ギヒ。 ⋯⋯ああ、みんなにバレちゃったの。 ミアが悪い子だって」
「そんな⋯⋯嘘よね?」
「ギヒヒ」
嘘だなんて、そんな悲しいこと言わないで! ミアはずっと、貴方を守るためにこうしていたのよ。
貴方の隣に並ぶ不届き者たちを消して、貴方を汚す芽を摘み取っていただけなのに、どうしてそんなに悲しそうな顔をするの? これからはもう、誰にも邪魔されずに二人だけでいられるわ。
さあ、その絶望した顔もとっても素敵! ねえ、ミアの愛を全部受け止めて、ずっとずっと一緒にいようなの。
「⋯⋯この女は、ミアを疑ってたの。 邪魔だから刺したの」
「儂としたことが不覚じゃった⋯⋯」
「でも、それも無駄だったの。 ミアは失敗したの⋯⋯」
その耳、プリンも聖女だったのね。 ミアという唯一の聖女がいるのにーー
プリンのその耳がとても目障りだわ!
プリンがミアの大切な貴方に近づいて、その甘い言葉で惑わせようとしているのね。
そんなもの、ミアの治癒能力と邪気払いで跡形もなく消し去ってあげる。
だからプリンの存在そのものが、ミアの愛の邪魔なのよ!
ねえ、プリンのその耳、ミアが切り落としてあげてもいいかしら? 貴方はミアだけを見ていればいいの!
ーーえ? ミアは何を考えているの? 頭が痛いの!
ああ! ラム、ミアを離して! ラムに触れられるなんて、そんなの我慢できないの。
ねえ、そんなにミアを抑えつけて、一体何がしたいの? ラムのその冷めた目で見つめられると、ミアの心まで壊れてしまいそうになるの。
お願いだから、その手を離して。ミアは貴方の隣に戻って、貴方を汚す連中を今すぐ片付けたいのよ!
「⋯⋯ラム。 ミアを降ろして、なの」
「嫌だけど?」
「⋯⋯どうしてなの? ミアはもう大丈夫なの」
「降ろしたら、悪いことするでしょう?」
ーーあれ? ラムがミアをじっと見ているの。
「当然なの! ここでミアが大暴れする展開なの!」
「じゃあ、駄目」
「あれれ? 脚本がミスっているの? ⋯⋯後で説教しないと」
脚本だなんて、そんなつまらない言葉でミアを縛ろうとしないで!
ミアの行動はすべて、貴方への愛という名の衝動なのよ。
ラム、そんなにミアを邪魔するなら、ラムも一緒に排除してあげる。
ねえ、貴方はいつまでその子たちの後ろに隠れているつもりなの?
早くミアのところに来て! 貴方がミアを抱きしめて、全部許してくれたら、世界なんて壊してあげてもいいのよ?




