第30話 これは本気を出すべき事態ね ーーキャス視点
怪我が治ったばかりのミートを、ミリィが担ぐ。
それにしても、こんな危険な場所にいたくはないわ。 この森にはミートに、致命傷を負わせた犯人がいるんだから。
未だ眠ったままのミートさんは、ミリィの背中で気持ち良さそうだ。
「⋯⋯ムニャ。 ⋯⋯はまた私に、睡眠薬を飲ませるのです? ⋯⋯でもここで飲んだら危ないから、温泉街に行くです⋯⋯ムニャ」
「むう! ミートさんが語尾をですにしてます! これじゃ私のアイデンティティがなくなるです!」
一方、ミリィはミートさんの語尾が気になるようで、プンプン怒っていた。
私は上空探索を続けて、ミアを探す。 ーー早く見つけて、この森から出ないといけないわ!
そんな中、私はついにミアを見つけた。 私は一人急いで、彼女の元へ向かう。 なぜなら、オーガに襲われていたからだ。
今まさに、オーガの一撃がミアに襲いかかろうとしていた。 私はその前に、ミアをキャッチ! オーガの攻撃は素振りに終わったようだ。
私は腕の中にいるミアを見た。 彼女は暗く澱んだ瞳で私を見ていた。
「ミアちゃん、大丈夫?」
「⋯⋯」
ミアは答えなかった。 私は、そのまま飛んでみんなと合流したわ。
プリンは安心した様子で、私のズボンに抱きつく。 そして、腕の中にいる、ミアを見る。
「キャス! 無事だったんだニャー! ⋯⋯! その子がミアなのかニャ?」
プリンの耳がぴょこぴょこ動く。 そんな彼女を、ミアは虚空の瞳でのぞいていたーー
そんな彼女の様子を、ラムは訝しんでいた。 ーーどうして、ラムはそんな表情をしているのかしら? 私はラムに問いかける。
「ラム? どうしたの、厳しい顔をしているけど⋯⋯」
「⋯⋯なんでもないよ。 それよりも、私がミアを持つよ! キャスお姉さんは上空へ飛ばないと⋯⋯」
あれ? ラムは私が飛ぶのをあまりよく思ってなかったはずなのに、むしろ勧めてくるなんて、違和感があるわね。
まあ、色々気になることがあるけれど、全員揃ったわね! まったく、一時はどうなるかと思ったわよ。 戻ったら、ミス・ファナイをとっちめてやるわ!
その時、オーガの悲鳴が聞こえた。 距離と方角からして、さっきのオーガで間違いないわ。 私が急いで向かうと、そこには血だらけのオーガが討伐されていた。
私はオーガの状況を確かめる。 切り傷もあるようだけど、一番の致命傷は刺し傷ね。
つまり、オーガを討伐した奴が、ミートに致命傷を与えた犯人である可能性が高いわね。
鬱蒼と茂る森の中が、そいつの狩場ってわけね。 許せないわ、絶対に犯人を捕まえて見せるわよ。
ーーところで、犯人は男かしら? この様子をみるに、強敵の可能性が高いわね。 私も万全の態勢で臨むべきかしら?
そう思った私は衣服を脱ぎ始める。 ふう。 解放感を覚えるわね! 私はサキュバスだってことが、身に染みてわかるわ! 微笑みながら下着姿になった私は、服を抱えて歩き出すのだった。
ーー後ろで私に合流しようとした、みんなが見ていたことを知らずに。
「ニャわわ。 ぼ、僕はなにも見てニャイニャー」
「⋯⋯服を抱えながら歩くなんて、滑稽です⋯⋯」
「キャスはあれこれ理由をつけて、サキュバスの姿になりたいだけだよ」
「ムフ。 ⋯⋯よ、まったくもってウブですね⋯⋯ぐぅ」
「⋯⋯」




