第27話 ナナシVSオーガ
オーガは魔物の一種だ。 人間よりも大きな体の生物で木でできた棍棒が奴の武器だ。 奴が村に一体でも現われると、その村は壊滅すると言われている。
俺は競技場へ向かおうとするが、逃げ惑う亜種たちが邪魔をする。
そいつらを斬りたい気持ちを抑えて、逆走する俺。
しかし、長くは続かず目的地付近に到着すると、無人になった。
耳鳴りがするほど、静かな闘技場の待合室。
耳鳴り? ーー違う、これは雄叫びだ! そう思った時。
目の前の世界が崩れた。 爆音とともに、景色が粉々に砕ける。 そして、強い衝撃が襲いかかる。 俺は思わず目を閉じた。
衝撃が収まり目を開けてみると、そこは残骸の山だった。
立派な待合室は今や瓦礫まみれだ。 黙々と上がる煙の向こうを見ると、オーガがこちらに向かっているのがわかる。
オーガは希少種。 だから、多くても三頭ぐらいだろう。 しかし、そんな風に思っていた、俺の予想は裏切られた。
数にして、八頭。 これは激戦の予感がする。 誰かいないのか?
競技場には、誰もいなかった。 俺はたった一人でコイツらを退治するのか?
一頭のオーガが棍棒を、俺に向けて投げてきた。 難なく避けるが、その棍棒が後方の瓦礫に直撃。
煙が消えた後を見ると、瓦礫が消失。 地面が棍棒の形に、くっきり残っていた。
ーーあんなもん、一撃でも当たったら終わりじゃねぇか。
俺は半狂乱になりながら突撃して、オーガの一体を斬り伏せる。 弱点である、動作の遅さが幸いした形だ。 その一体は、倒れて動かない。
ーー倒せる! 俺はこの状況に希望を得た。
しかし、おかげでマークされてしまった! 俺に狙いをつけて、襲いかかってくるオーガたち。
ここは、俺の十八番を使うしかないようだ!
全神経を足元に集中させる。 オーガたちの軌道をよむ。 いまだ!
これが俺の十八番! 全速力撤退だ!
俺は街と反対側へ逃亡した。
◇◇◇
ナナシこと勇者が、オーガと戦っている様子を見て、リディは嘆息する。
「あれが勇者ね⋯⋯ この世界は大丈夫かしら?」
彼女はそういうと、オーガたちの前に姿を現す。
オーガたちが、現れたリディに注目する。 その時、リディの目が怪しく光った。
するとオーガたちは、跪き始めた。 淡々とした足取りで、倒れているオーガに近づく彼女。
「ふん。 これは死なない程度に加減されているわね。 自分の生死が関わっている場面なのに、悠長な奴⋯⋯」
リディはそういうと、跪いているオーガの腰に座った。
「⋯⋯さてと。 向こうはどうなったかしらね?」
リディが見つめるのは街と反対側であったーー




