第25話 強者たちとの闘い ーーキャス視点
一回戦は、相手の降参という形で終わった。 でも、次からはそうはいかないわね。 気持ちを切り替えて、二回戦へいくわよ!
そう意気込んでいる二回戦の私の相手は、話術士だった。
彼女はエルフ耳でローブを身にまとい、顔を布で隠して、大きな本を持っているわね。
私は大剣を背中に背負ったままの状況で戦うわ。 だって、この勝負に大剣は必要ないんだからーー
私が武器を構えないのが、意外だったのか。 彼女が私に話しかけてくる。
「コスプレガール? ⋯⋯なぜ、武器を構えない?」
「話術士相手に、武器を構えてもね〜」
私がのんびり発言すると、驚きの表情をみせる彼女。
すると彼女は魔法を唱えるように、不思議な声を出すの。
『武器を抜きなさい。 そして、私に襲いかかるのです!』
「⋯⋯?」
「⋯⋯そんな! 私の話術が効かないなんて⋯⋯」
効果がない話術に、落ち込んでいる彼女。 しかし、私はこのタイミングで大剣を構えた。 すると、彼女の表情が笑顔に変わった。
話術が成功したと思い込んでいる彼女を尻目に、私は彼女の横を通過。
後ろを見た彼女は、驚いて飛び退く。 衛兵が槍を彼女に向けて刺そうとしていたからだ。
私は、体を張ってそれを妨害した。 その兵士の目は朧げだったわねーー
それは一瞬で正気に戻った兵士。 慌てて降参のポーズをとる。
へえ。 この話術士、かなりの腕前ねーー
そう思って彼女を見ると、彼女は驚愕という表情をしていたわ。
「ええ! 貴方⋯⋯私のことを守ってくれたの?」
「まあね。 あんなの、完全に不意打ちじゃない」
「⋯⋯うう。 うう、降参します。 うう⋯⋯」
彼女は私の前に頭を下げるのだったーー
三回戦の相手は二刀流の曲芸師だった。
彼は、試合前のパフォーマンスといわんばかりに、鉄で出来た的当てを用意。
その的が点に見える距離まで離れた。 すると、彼は俊敏な動きで連続投擲。
ナイフは雷のような速度で、的に直撃粉砕。 私は冷汗がダラダラ流れる。
ーー嘘でしょ? ナイフ軌道が、まったく見えなかったわよ?
そうして始まった闘い。 私は開始早々の特攻を選択する。
ーーいや、それしか方法がない。
私は全力で彼に向けて、大剣を振った。 しかし、軽々とナイフによって、防がれてしまう。
その時、私のスキルが発動した。 彼が私の背後に回り、首に手を当てるイメージが浮かんできた。
私は前に彼がいるにも関わらず、後ろに振り向いて、大剣を振った。
そこには彼が出現し、当然と言わんばかりにナイフで防がれてしまった。
しかし、その表情が明らかに驚愕であることに気づき、私はほくそ笑んだのだった。
「やれやれ。 これは参りましたね⋯⋯」
「⋯⋯まだ、続けるつもりかしら?」
正直にいうと、私は負けを認めていた。 この人、強すぎる。 たぶん、私は手加減されている。 それこそ、彼が私と同じ大剣を振るっていたら、私は相手にすらならないわねーー
「いいでしょう⋯⋯ここは貴方に譲りますよ⋯⋯」
彼がそう言うと、ナイフを放り投げて天を仰ぐ。
その様子は、サーカスの幕引きそのものだった。
私は、思わず拍手するのだったーー




