第24話 ケンタウロスとのバトル ーーキャス視点
私は一人、会場へ向かう。 みんなは観客席で試合を見守るみたいね。
選手の様子を伺ってみる。 中には、色々な種族の強者たちがいたわ。
そう思っていると、とある拳術士のお姉さんが近づいてきた。 彼女の姿には見覚えがある。 あのとき、ミートと一緒にいたお姉さんよね。
「貴方も、武闘大会に出るのね、サキュバスさん。 ロマーニャよ」
「キャスです。 貴方もゆう君と知り合いなんですか?」
すると、ロマーニャさんは悲しい表情になった。 なにか変なこと言ったかしら?
「知り合いどころか、私があの子の母親よ! ⋯⋯赤ん坊の時にしか会ってないけど⋯⋯」
「母親⋯⋯」
そういうと、彼女は落ち込んでいた。 あれ、母親? アイツ、母親は死んだって言ってなかった?
「でも、ゆう君は母親は死んだって言ってましたけど⋯⋯」
「⋯⋯はあ。 こうなったのも、全部ミートのせいだわ⋯⋯」
ロマーニャさんは淡々と語る。 私はそれを複雑な気持ちで聞いていた。
彼女の発言を要約すると。
愛している旦那の子供ができて。 その子にいないもの扱いされているなんて、ガッカリよね。 今度アイツにあったら、話してあげよっと。
ーーそれにしても彼女、只者じゃないわね。 見えないオーラを感じたわよ。
武闘大会のルールは簡単だった。 呼ばれた選手が前に出てバトル。 勝者が生き残る、ただそれだけだ。
ひとつ気になったのは、別グループで勝ち上がってくる人員が、数名いることぐらいかしら?
物語でいうと、そういう奴が強いのよねーー
そんな私の最初の相手は、ケンタウロスだった。 私たちは睨みあう。 私の武器は大剣、そして相手の武器は弓なのよね。 でも、矢がないわね。
そう思っていたら、彼は弓を引くポーズをとった。 それは、ただのポーズのはず。 だけど、私は嫌な予感がした。
彼が弦を離す仕草をした瞬間。 彼の周りの空間が揺れる。 それが私に向かってくる予感がした。 見えないなにかが、私に向けて放たれた。 咄嗟に避けたけど、私の背後で爆破音が鳴った。
後ろを振り返ると、壁が破壊されていた。 会場にいる観客たちも驚愕している。
ーーあんなもの、喰らったら一撃でアウトだわ!
私の額から、冷汗が流れる。
一方彼は顎をさすりながら、私を見つめていた。 なにを考えているのかしら?
すると彼は弓を地面に置いて、手を上げた。 それが意味することは一つだけ。
ーー降参だ。
試合終了後、握手をする私とケンタウロスーートゥファンさん。
彼は私の避ける姿を見て、勝ち目がないと考え、辞退したそうだ。
こんな強者が、この武闘大会には集まっているのよねーー
私は、さらなる強敵に胸を躍らせていたのだった。




