第22話 武闘大会始まる
場所は武闘大会の会場の控え室。 無数の雑魚共が集まっているな。 まあ、せいぜい俺の踏み台になってくれよ諸君。
ーーそう、俺が苦杯を舐めたあの日から、数日経った。 その間俺は修行に明け暮れる日々を過ごしていた。
今でも俺の脳裏にアイツらが、この俺を馬鹿にする声が聞こえてくる。
だが、そんな日々も今日で終わりだ。 俺は観客全員が俺の強さに跪きひれ伏す、未来を想像する。 男は不甲斐なさに憤り。 女共は皆、俺に釘付けさ。
ーーふっ。 まったく罪な男だぜ。 だが、わりぃな。 俺にはキャスっていう女がいるんだ。
そんなことを考えていると、アナウンスの音が聞こえた。 俺は颯爽と役員の元へ向かう。
「えっと貴方がナナシさんですか?」
「⋯⋯いかにも」
「⋯⋯はあ。 どうぞこちらへ⋯⋯」
役員に案内された通りの場所に向かう。 周りの選手を見ると俺と同じ学生たちだった。
どうやら、通常の選手と俺たち生徒は別予選らしいーー
「ただいまから、予選を開始します。 二名ずつランダムで呼び出しますので、呼ばれた選手は前で戦っていただきます。 武器、魔法等使用可能ですが、相手を即死させた場合は失格になります」
ほう。 ずいぶんと寛容なシステムだなぁ? まま、9・5割殺しくらいにしておくか。 まったく、手加減が大変だぜーー
予選が始まった。 しかし、戦っているのは雑魚学生。 俺は退屈すぎて、あくびが止まらなかった。
「⋯⋯では続きましてナナシ選手。 前へどうぞ」
「⋯⋯ああ。 やっとか⋯⋯」
俺はリングに上がる。 相手はもやしっ子だった。 しかも、様子が変だ。 まるでここにいることが本意ではない様子だ。
おいおい。 誰も出たくないから、ひ弱な奴が断りきれずに受けたってことか。
ナヨナヨしているもやしを見ていると、なんだかイライラする。
ーーそう、俺はコイツに昔の俺を重ねているんだ。
前回の人生で師匠が死体喰いに食べられ、廃墟でキャスに拾われたばかりの頃の自分と。
試合のゴングが鳴る。 俺はもやしっ子に駆け寄り、飛び膝蹴りをお見舞いした。
哀れなもやしっ子は場外へ。 一発KOだ。 あばよ、昔の幻影ーー
続く二回戦。 相手は普通の男子学生だったが、疲労困憊の様子だ。 どうやら、一回戦の相手と接戦だったらしく。 その戦いの疲れを癒す間もなく、俺と戦うようだ。
ーーそんな様子でもゴングが鳴れば、俺に特攻を仕掛けてくる。 捨て身タックルか。 俺はそいつが触れる直前に避ける。 急に無くなった標的に、軌道修正することも出来ずコースアウト。 まったく、つまらない勝負だぜ。
三戦目の相手は魔法使い。 しかし、威力はアゼッタよりもはるかに劣る。 勝手にマジックパワーを使い果たし終了。 雑魚だったな。
四戦目はモーニングスター使いだった。 そいつの体をグルグル回ると、鎖が巻きつき自滅。
五戦目、雑魚。 六戦目、雑魚。 七戦目、雑魚ーー
雑魚ばかりでウンザリしていた頃。
「学生予選の通過者はナナシ選手に決定です」
「やっとかよ⋯⋯」
つまらない勝負だったぜ、準備運動にすらならねえぞ。
ーーそう思っていた時。
「緊急事態発生です。 オーガ集団が会場内を制圧。 ⋯⋯速やかに避難お願いします⋯⋯」
「おいおい、最高の準備運動じゃねぇか! 盛り上がってきたぜ!」
俺はウキウキしながら、会場へ向かうのだった。




