表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
勇者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/60

第28話 この世の善と悪

 「ははは。 まったく儲かって過ぎて笑いが止まらんの~」


 この場所の現管理人ーーグレギは笑い転げていた。 ここに赴任して、数年が経つ。 全領主が指揮っていた花畑思考の政策は撤廃して、利益優先で推し進めてきた。 ーーその結果、ただの放牧地だったこの街は、今では立派な観光名所である。


 「さて、今日はどの子にしようかなぁ? グフフ」


 そんなグレギの頭は、公務後の戯れしかなかった。


 ーーそんな彼の部屋に、窓から客人がやって来た。


 「うん? なんじゃ?」

 「こんにちは~」

 「オフォフ! べっぴんさんじゃの!」

 「寒いわ~ ここを開けてくださらない?」


 みると、布一枚しか着用していない美女がいるではないか? 衣類はどこで脱ぎ散らかしたのだろうか? 


 「ほほう。 これは、これは。 上玉じゃの~ 決めた! 今日はこの子にするぞい!」

 「⋯⋯まあ、嬉しい! 優しくしてね~」


 グレギは、窓を開けてた。 中に彼女が入ってくる。


 「ありがとう。 私の名前はキャスと申します⋯⋯」

 「おお。 キャスたんか! かわええの~」

 

 そしてキャスは、身に纏っていた布一枚を脱ぎ捨て、黒の下着姿になった。


 「オホ。 こりゃたまらんの~ 力がみなぎって⋯⋯」


 力がみなぎって来たーー そう言おうとしたグレギは、尻餅をついて倒れる。


 「なんじゃこれは? 力が抜けたわい⋯⋯」

 「あれ~ まだ喋れるんだ~」


 キャスは隠していた、翼とツノを出す。


 「貴様はサキュバス! ⋯⋯バカな! 既に滅んだはずでは⋯⋯」

 「⋯⋯⋯⋯」

 「えい! 敵襲じゃ! であえ、であえ!」

 「ざんねん~ お仲間さんたちは今ごろ⋯⋯」


 すると部屋のドアが空き、中に獣人が入ってきた。


 「お姉さん! 敵は殲滅したであります!」

 「大丈夫。 殺してない」

 「ご苦労様。 ミリィ、ラム!」


 哀れ。 兵たちは亜種どもの餌食になってしまった。


 「なんじゃ? 殺してないじゃと? ⋯⋯舐めたマネを。 お前たち魔族はこれだから⋯⋯一体なにが目的だ!」

 「そんなに怒鳴らないで~ 元気ね~ 私たちが求めることは簡単! ⋯⋯今すぐに、この街から出て行きなさい!」

 「⋯⋯クク。 傑作だ⋯⋯グハハ」


 キャスがそう言うと、突然グレギが狂ったように笑い出した。


 「な、なにがおかしいの?」

 「無知な奴らだ! なにもわかっていない。 ⋯⋯俺を追い出したければ、外へ放り投げでもしたらいいものを!」


 すると、グレギが起き上がり、キャスに飛び掛かる! 


 ーーやれやれ、仕方がないな。 俺は部屋に立てかけている、銃をグレギの頭に向けて撃つ。


 「オイ! 無防備な丸腰女! 正体がわかれば、お前など敵では⋯⋯グハ」

 「キャ! ⋯⋯なに? なにが起きたの?」

 「この人、死んでいるです⋯⋯」

 「はは。 武士の情けだ。成仏させてやったのさ」


 俺が声をかけると、キャスが怒りを露わに、睨んでくる。


 「やあ、キャス。 元気だったかい?」

 「アンタ。 なんてことを⋯⋯」

 「コイツ? ⋯⋯ああ、しがないただの管理人さ。 死んでしまったから、元がつくねぇ」

 

 俺はソファーに座って、くつろぐ。 まったく余計なことをしてくれたね。


 「君たちはさ。 自分たちのしたこと、わかっているの?」

 「ハァ? ⋯⋯アンタがこんなことをしなければ、この街は平和に⋯⋯」 

 「平和に、放牧地として再始動出来る? ⋯⋯甘い、甘いよ! キャス。 一度この街は堕ちちゃったのさ。 見てよ、この景色! もう過去に戻ることはない」


 俺はキャスを見つめる。 しかし、睨まれた。 悲しいーー


 「それで? 今日から、昔に戻りましょう、って? ムリムリ。 みんな、捨て切れないからね。 ⋯⋯まあ、例え出来たとしても、今度は周りが許さない。 わかる? またやって来るんだよ! 貴族が兵を連れて! 君たちに守れるかな? ただでさえギタギタな状況のこの国を。 ⋯⋯どう? わかった? だから諦めて二人でここから出よう!」


俺はキャスに手を伸ばす。 しかし、弾かれてしまった。 なぜだキャス! 俺はこんなにも、君を思っているのにーー

 

 「⋯⋯はは。 強情だね、キャス。 でも、これが世の定めなのさ⋯⋯」

 「違う。 アンタは間違っているわ! ⋯⋯私たちは知った。 お互いに分かり合える存在なんだってことを! 君が勝手に決めつけないで!」

 「⋯⋯だったら、俺の気持ちもわかるよな? 俺は、キャスと一緒にいたいだけなんだ⋯⋯」

 「それは⋯⋯」


 キャスは少し逡巡した様子を見せたが、決意したように俺を見てこう言ったーー


 「撤回するわ。 ごめんなさい。 今のアンタとは、分かり合えないわ⋯⋯」


 はあ! おいおい。 なんだよ、それ? 俺がキャスと分かり合えない? 俺はキャスのために頑張ってるのに。 無駄だったなんて。 だったらーー


 俺はなんで生きているんだ?


 認めない! あり得ない、あり得ない。 あり得ない!


 「ああ、クソ! なんでなんだよ~」

 「ちょっと、どうしたのよ! 待ちなさい!」

 「嫌だ~ 俺は! 俺は!」


 俺は、窓から飛び出していく。 逃げたい。


 ーーそしてそのまま、街を一人で離れていった。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ