第27話 路地裏での決意 ーーキャス視点
「いたぞ! 獣人どもだ追え!」
街の路地裏に隠れる。 ーーゆう君が消えてしばらくすると、私たち目掛けて、人間たちが襲いかかって来た。 当然、私たちはやり合うつもりはないので、逃げるしかなかった。
「なんでバレたんでしょうか?」
「わからないです! 怖いです⋯⋯」
「ゆう君もどこかへ行ったし⋯⋯まさか」
ミリィとラムがお互いに震えて抱き合っている。 私は考えたくない、可能性に行き着く。 やられたわね。
「⋯⋯ゆう君が、私たちを売った?」
「ええ! キャスお姉さん、本当ですか?」
「そんな⋯⋯嘘です⋯⋯ゆうさん」
そうまでして、ミリィとラムを排除したいのか。 私は全然、彼のことを理解していなかったかもしれない。
私はクロンと話していた時のことを思い出すーー
「キャスよ、奴はゲス野郎ニャン。 あんな奴とは、別れるニャ」
「たしかにね~ ⋯⋯でも、ゆう君は寂しいだけだよ」
「う~ニャ! わかってニャイニャン!」
クロンと話し合っていた時はまだ、ぴんとこなかったが、今ならわかる。
ーーアイツは亡者であると。
己れの目標の妨げになるものを、排除することに躊躇いがない。 なにが、ゆう君をそうさせるのか、まではわからないけどーー
「うう。 腹が減ったよ。 飯をくれ⋯⋯」
「寒いよ⋯⋯寂しいよ⋯⋯」
「ヒック。 ああ、世界なんて滅んでしまえ」
表通りと違い、ここには家がない人間たちがたくさんいた。 ここに元々住んでいた、商人と飼育員たち以外の住民たちは、ここに閉じ込められたようだわ。
「腐っているわね⋯⋯この街は。 こんなの許せないわ!」
「キャスお姉さん! そうだよね」
「私もそう思うです!」
そう、私たちが会話をしているとーー
「お嬢さんたちや。 観光客かい? こんな所にいたら危ないぞ」
「俺たちが、襲っちゃうからな。 ははは」
「⋯⋯って。 おや! 獣人かい。 かわいらしいのう」
「ほら、ご飯食べるかい? 質素だけど、味は美味いぞ」
路地裏のみんなが、私たちに優しくしてくれる。 私は久しぶりに、人間を見直したのであった。 私はその中で、ギバドルと遊んでいる少女と出会った。
「メェーメェー」
「モモちゃん。 美味しい?」
「メメ」
「本当! いい子いい子」
少女とギバドルが仲良く遊んでいるーー そこへ二人も混ざりたそうだ。
「ちょっと、触ってもいいです?」
「どうぞ! ふわふわで気持ちいいよ」
「本当! ふわふわで気持ちいい!」
ラムがギバドルと戯れている。 かわいい! 私も触って見ようかな?
「ふふ。 モモちゃんは、お姉さんたちを気に入ったみたい!」
「メメ!」
「ふふ、くすぐったいです!」
「かわいいなぁ」
私たちが戯れていると、奥さんがやって来た。
「私はね、嫌になったんです。 ギバドルを食用や衣料品に使うことが。⋯⋯ わかってはいるんですよ。 綺麗事だって⋯⋯人間は生きていくのに、生物を殺さないといけないことは。 でもね、この子とギバドルが遊んでいる時、私の中でプツンとなってしまってね。 ⋯⋯気づいたら、娘とギバドルを連れてここにいました」
どうやら、彼女はギバドルの飼育員をしていたらしい。 でも、嫌気がさして、ここに来たようだ。
そして、他の人たちも話し始めるーー
「僕たちのことを、表の商人たちは笑うかもしれないけど、これが僕たちの選択なんだ。 やがて⋯⋯僕らは死んで、この街は完全に搾取する街になるだろうな」
「こうなったのも、領主が殺されて、バルテン王国から管理人が来たせいだ⋯⋯」
「⋯⋯ねぇ? その人って男?」
「おうよ、性欲にがめついクズ野郎さ。 稼いだ金で強欲三昧だろう⋯⋯」
なるほどね。 私がすることが決まった。
「ミリィ、ラム。 私がこの街を元通りにするわ!」
「はいです! やりましょう!」
「頑張る! オー」
私のサキュバスの力でこの街に革命を起こすわよ!




