第26話 ギバドルの街
草原を抜けてしばらくすると、舗装された道に行き着く。 間もなく、俺が目標としていた街に辿り着く。
通称、ギバドルの街。 前回は、今よりも立派な観光名所だった。 まだまだ成長期真っ只中と言う訳である。
ーーギバドルとは、毛の生えた魔物の一種である。 見た目も力も弱い下等生物。
鬱陶しく鳴く姿に嫌気が差すが、その毛皮と肉はとても高価であり、見た目の良さから商人たちに大人気だ。 通常なら人間に淘汰されるだけの存在を、この街では飼育して生計を立てているのだ。
「オラ! キビキビ動け!」
「メェーメエ」
「ああ! なんだよ? 今すぐ肉にされたいのか?」
「メェーギョン⋯⋯」
「ふん。 ⋯⋯肉一丁上がりだ! 商人」
「おお! 観光客のみなさん! 新鮮なギバドルのお肉ですよ! だって今から捌きますからねぇ~」
「ギュギュ⋯⋯キュー」
ほら、あちこちで、鳴いているだろ? はあ、美味しいそうだよなぁ。 絶品なんだよな~ 柔らかくて、脂がのって。 早く食べたいな!
「キャス! ここのレストラン行こうぜ! キバドルが美味しいんだよこれが⋯⋯」
「⋯⋯⋯私は、遠慮するわ⋯⋯」
「なんだよ! 連れねぇな。 さては腹でも壊したか?」
キャスは、どこか悲しげな表情を浮かべながら断った。 残念だな、せっかく美味しいご飯が食べられるのにーー
「私もいいです」
「遠慮します⋯⋯」
あっそう。 別にお前らには聴いてないよ。 そんなフードかぶって、取っちゃいなよ。 あ、無理だったよねゴメン。
ーーだってすぐに、捕まえるからねぇ? 雑魚獣人姉妹?
そう! この街は、人間至上主義の街。 いわば、俺の同志たちだ!
「ねえ、ゆう君⋯⋯やっぱり、この街を離れましょう⋯⋯」
「でも、近くに休む所、ないです⋯⋯」
「いつバレるか、ビクビクしますね⋯⋯」
「おっと! 手遅れなんだよな、これが⋯⋯」
俺は、無知な彼女たちに説明する。
「入りは自由。 出は厳重。 ⋯⋯それがこの街のルールだ」
「⋯⋯最低ね」
「どう言うことです?」
「おいおい。 失明でもしたか? 入ってくる時に歓迎されただろう? 出る時は、ソイツらがお前たちの隅々まで調べるだろうよ」
「ええ! 私たち捕まってしまうの⋯⋯」
そう。 この街でさらばだ。 ーーまあ、死なないから安心しろよ! さようなら、獣人姉妹。 俺は全然悲しくないよ! キャスがいるからーー
「⋯⋯ゆう君は知っていたの?」
「さあ? どうだか。 それよりも、現実を見ようよ。 キャス! 一緒に二人で冒険しよう!」
「⋯⋯⋯⋯」
「痛いよキャス!」
俺がキャスに手を取ろうとすると、弾かれてしまった。
「そうね。 現実を見ましょう。 ⋯⋯なんとかして、ここから出る方法を探しましょう!」
「キャスお姉さん! ありがとうございます!」
「はいです! オーです!」
「はあ? そんなもんナイナイ。 お前たち、姉妹は捕虜決定!」
俺がそう言ったのに、無視をして行動する亜種どもーー
そして、俺は置いてかれてしまった。 どうするかなぁ?
「はは。 しょうがないか⋯⋯さて、情報屋はどこだったかな? 情報料ガッポリもらって、キャスとギバドルランチしようっと!」




