第25話 異界の門を司る魔女 ーーキャス視点
いよいよミリィちゃんの番が来た。 ミズキが彼女に声をかけて、棒状の物体を口元に近づけている。
「ミリィさんお願いします!」
「えっと、緊張するです。 ⋯⋯でも、頑張るです」
「お姉ちゃん頑張れ!」
「ラムありがとう! 頑張るです!」
「⋯⋯なあキャス? ここはどこなんだ?」
ゆう君が私の服を掴んで揺さぶる。 場所を聴いて来るなんて変わっているわね。 この建物の形状は間違いないわよ。
「うん? 闘技場に決まってるじゃない? ここで勝てば、大金が手に入るの。 そして、私は豪遊三昧の日々を送るの。 ⋯⋯さようなら、ゆう君。 元気でね!」
「いや、おかしいだろ。 さっきまで草原にいたんだぞ。 あのババア! 変な魔法を使いやがって⋯⋯」
ゆう君がぶつぶつ文句を言うが、長くは続かなかった。
「次は魔王さんです」
「オレマオウ。 トテモツヨイ」
「⋯⋯なんだと、魔王だと? こんな所で⋯⋯」
ゆう君が魔王を睨みつける。 でも彼はーー
「イマ、シュギョウチュウ。 ミンナデ、アツイオチャタオス。 チョコメロトノヤクソク」
「熱いお茶を倒すだと?」
「ゆう君。私たちの世界の魔王とは違うよ~」
そう、別の世界の魔王だ。 確信した。 私たちは時空転移の術に巻き込まれているんだ。
「ゆう君、時空転移だよこの状況は」
「そうだったのか。 危うく俺の十八番が出る所だったぜ」
「それってなによ?」
「勇気ある撤退だ!」
聴いて損したわね。 私はため息を吐く。
「なにこれ? デカ過ぎない? ⋯⋯あ、しまったわ。 絶食してたのに、こんな肉の塊を食べたから、胃も垂れが⋯⋯嫌よ。 私はお金持ちになるの! こんな所で破れる訳には⋯⋯ガク」
大きな肉の塊にエルフさんは脱落した。 わかるよ~ いきなり油物を食べたらそうなるよね。
「モグモグ。 大きいです。 こんなもの食べたことないです!」
ミリィちゃんは、ご馳走に目を輝かせていた。
でも、アイスパフェを食べた後に、悲しげな表情を浮かべるーー
「お姉ちゃん? どうしたの?」
「もう、お腹いっぱいです」
結局その後、降参してしまった。
「ご参加頂きましてありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます!」
「なぜパーティを組んでいるんですか?」
「えっと? 色々ありましてです。 まず、家が人間に潰されて⋯⋯」
「おい、メガネ! 関係ない質問はやめろ!」
ミズキがインタビューをしている時に、慌てて飛び出したゆう君。
「⋯⋯ハハハ。 私、夢見てるみたいなんだ。 ⋯⋯どうせ夢なら、ちょっと大胆な質問をしてみたくて⋯⋯」
ーーたしかに、この空間は特殊だね。 夢だと思うのも仕方ないか。
でも、私は最後にミズキに一言だけ、言わせてもらった。
「ミズキちゃん。 世界って、貴方が思うよりも謎だらけなの。 ⋯⋯もしかしたら、私たちはまたどこかで会えるかもね。 その時まで、忘れたら駄目よ、ミズキちゃん! キャスお姉さんとの約束だよ!」
「私もです!」
「じゃあ私もかな?」
「うん。 貴方達のことは、忘れないよ。 ありがとう⋯⋯」
「瑞稀! 早く来るのですわ! 次の試合でしてよ!」
「待ってよミウミウ!」
ーー私たちはドアの外に出る。 すると、そこには草原が広がっていた。
「あ、お姉ちゃん! 小屋が消えたよ!」
私たちが振り向くと、さっきまであった小屋が消えていた。
『オホホ。 どうじゃったかのう? 儂の転移魔法は?』
「おい、ババア! なにしてくれているんだ! 出てきやがれ!」
『小童が、キャンキャン吠えておるのう。 今出て行ったら危ないから逃げるぞい』
そう言うと、声が遠ざかって行ったわね~ オババに犬扱いされてる~
こうして、私たちの不思議な体験は、幕を閉じた。
私としては、いい出会いだったから、楽しかったわ〜




