第97話 オニギスの正体とは?
扉の奥ーー光の中に入った途端に、目に入ったのはお金の山だった。
「……嘘」
「……嘘でしょ」
私と姉さんは、その光景に浮かれてしまう。 金貨! 宝石! 装飾品!
空間の中央に、小山のように積み上げられている! こんなの見たことないよ!
「姉さん! これ、本物よね!」
「(コクコク)」
「やばいわ! お金持ち確定だわ!」
「(コクコク)」
「……ねえ? 君たち、キャラがおかしくなってるよ?」
オニギスが、ジト目で私たちを見てくるけれど。 そんなの気にならないーー
私たちの長年の夢。 バルデン王国のスラム外で夢に見ていた、光景が広がっているんだから。
それに、浮かれているのは私たちだけじゃない。
「アメジスト……」
「ターコ……」
「深淵に星がありましたね……」
「ぅゔぞうだんなぅ」
ほら、あの二人もこの景色に見惚れてるじゃん!
「姉さん、やったわね!」
「(コクコク)」
「でも……」
「(シュン)」
浮かれていたのは、ほんの数秒だった。 私たちは黄昏れる。 この景色を一緒に見たかった、同士ーーフレイアがいないのだ。
「……ねえ、姉さん」
「……」
「あの人なら、何て言ったかしら」
「(ウルウル)」
「……それもそうね」
「まったく、君たちは……ゔぅ」
ーー私たちが哀愁を漂わせていた、その時だった。
「……っ」
背後で、短い息の音がした。 振り返ると、オニギスが俯いて蹲っていた。 心臓の部分を、両手で押さえている。
「オニギス?」
姉さんは駆け寄った。 私もオニギスの方へ向かう。
「どうしたの! 怪我?」
「……ゔふぁぁ〜」
「二人とも! 今すぐに、オニギスから離れなさい!」
ターコイズが慌てている? さっきまで飄々としていたのに、どうしてーー
「オニギス」
アメジストがハンマーをオニギスに向けている?
「ちょっと! 一体どう言うことなの? ねえ!」
「お前ぅ俺たちに、嘘をついたなゔ?」
「……ふ。 やっぱ……り、バレてたか……でも」
オニギスが顔を上げた。
「……オイラね、ずっと我慢してたんだ。 君たちを食べるの」
オニギスは、そう言った。 だけどーー
「ここが、オイラの巣なんだ。 ……ここで君たちを食べるつもりだったんだけどね……残念だなぁ……」
ーーだけど。 なんでそんなに悲しそうなの?
「違うんじゃない?」
「……? なにが?」
「本当は止めて欲しかったとか」
「は、……はは。 君は人間だから、魔物の気持ちなんて……」
「わかるよ……だって。 泣いてるよ? オニギス……」
ーーオニギスの目からは、涙が溢れていた。
「やっぱり、怖いよ……最初から、覚悟……してた……のに」




