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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第90話 遅れて到着する黒

  俺がただひたすらに下を目指していると、やがて牢屋みたいな層に到達した。


「牢屋か……まるで、実験室みたいだよね? どう思うナナシ?」

「……」


 横で平然とエメラルドが呟くのを無視して、先に進む。 エメラルドは、そんな俺の態度をまったく気にしてなかった。



 鉄格子が、通路の両脇に並んでいる。 どれも扉が開いていて、なにかがいた後がある。 ーーおそらく『アレら』がその正体だろう。


 石の台。 鉄の器具。 床には、黒い染みが点々と続いている。


「酷いものだね、ナナシもそう思うだろ?」

「……」


 気安く話しかけるな。 俺に答えを求めるな。 そう思ったが、答えては負けだ。


 エメラルドは、台の上を覗き込んだ。


「継ぎ目の縫合痕。 なるほど、ここでキメラを作ってたわけだ。 ……ねえ、ナナシ。 君、知ってたかい? あの婆さんはね、生きた人間を使ってる、死体じゃなくてね?」


 俺は、足を止めた。 想像するだけで、気味の悪い話だ。 だが、俺に関係ない。


 エメラルドが、こちらを見た。


「あの婆さんは、死を『取り消せない』んだ。 ……だから、その方法を探している。 他人の生命を犠牲にしてね?」


ーー狂ってやがる。 俺はそう思った。


「同感だね」


 エメラルドは、肩をすくめた。 勝手に表情を読むな、気持ち悪いーー


「…アを助…」


 そんな中、何か音が聞こえてくる。 女の声だ。


「……ふむ。 誰かいるみたいだね? 助けに行こうか」


 助けるだと? こんな場所にいるモノをか? ーー正気か、コイツ?


 当然、俺は行く気はなかった。 でも、進行方向の先だから進むしかない。


「ミ……て」

「……ア、たす……」


 どこかで聞いたことがある声。 しかし、今世ではない。


『大丈夫ですか?』

『傷だらけ⋯⋯今治します⋯⋯』


ーーまさか。 この声は、どうしてここに、アイツが?


 実験室の奥。 牢屋の石柱に、鎖で繋がれた人影があった。


 黒髪の女。 そこに違和感のあるネコミミ。


「あ! 人が来たの! 早く、ミアを助けてなの〜」

『初めまして。 ミアと言います⋯⋯貴方の名前はキャスさんから、聴きました。 ゆう君、ありがとうございます』


 俺は、立ち尽くした。 ーーミア。 バルデン王国の近郊の村娘。


『ミアがボコられるのは当然なの。 このネコミミがあるから⋯⋯』

『違うの。 村のみんなは、ミアのことを醜いって言うの。 だから醜いの⋯⋯』

『⋯⋯それは違うの。 世の中公平じゃないの、不意打ちなんて発言は負け犬の遠吠えなの⋯⋯死んだらそれで終わりなの。 だから、勝てばいいの』


 前の世界で。 俺に世の中の理を教えて、そしてーー


『ゆう君駄目なの。 ちゃんとトドメを刺さないと⋯⋯まだ生きてたの。 だから、ミアが殺しておいたの⋯⋯』

『ギヒ。 それでお願いなの。 ミアの代わりに惨殺の罪を背負って欲しいの』

『⋯⋯そう。 やっぱりネコミミのせいなの。 こんなものがあるせいでミアは産まれてから、ずっと最悪なの⋯⋯本当に鬱なの』


 俺が亜人種が嫌いになった原因ーーサイコパス殺人犯ミアだった。

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