第22話 彼女たちの決断 ーーキャス視点
獣人街の宿屋で私は、睡眠を取っている。 それにしても、私はすごい! 男たちみんなをエナジードレインで倒したのだから。
エナジードレインーー この技は、私たちサキュバスの得意技。 邪な感情をエネルギーとして吸い取る技である。
つまり生物ーー特に人間にとっては原動力そのものだ。 吸われた相手は廃人になったり、場合によっては死ぬことがあるんだから。
ーー例えば、こんな風にねぇ? ゆう君?
「ははは、キャスこんばんは。 一緒のベットだよ」
「貴方が勝手に、夜這いしているだけでしょ!」
私は、彼をつまみ出す。 まったく。 せっかく見直したのに。 なんでコイツには効かないのよ。 まったく。
それにしても、ゆう君ってなんでも知っているよね? 私のこととか。 たまに、意味不明なことを言ってる時があるけど。 この前だってお母様のことを、まるで死んだみたいに、話すんだから! まったく失礼な奴。
「⋯⋯ねぇ。 まだいるんでしょ? ゆう君」
「いるよ。 やっとその気になった?」
「貴方は何者なの?」
「俺はキャスの旦那様だよ」
「ああ、真面目に聴いて損したわ」
「キャス。 朝一番にここを出よう。 そして、静かな場所で二人で暮らすんだ。 獣人どもの顔なんて、見たくもない⋯⋯」
「私を獣人族の人たちと、関わらせないことに、必死ね。 この街に入る前もそうだったけど⋯⋯ 」
私が街に入ろうとするのを、止めて来たのよね。 ついでにすりすりして来たから、蹴り飛ばしたけど。
「別に。 今さら言っても遅いさ。 キャスは俺の言うことを聴いたらいいんだ」
「あ、そう。 それで、ゆう君は嬉しいの?」
「嬉しい? ⋯⋯そんなことはどうでもいい。 俺は君が死ぬのが嫌なんだ」
物騒なことを叫ぶゆう君。 私がここで死ぬわけないじゃない。
私が死ぬのは、最愛の人の前って決まっているんだから。 その人が殺されるなら身代わりになって死ぬーー それが私の望みなんだから。
「はあ、もう寝るから。 おやすみ~」
「おやすみ、キャス。 いい夢を⋯⋯俺の最愛の人⋯⋯」
朝、目が覚めるとやっぱり、ゆう君がいた。
ねぇ。どうしてそんなに、私に構うの? こんなに冷たく接しているのに。
「起きた? キャス早くここを出よう」
「君はどうして⋯⋯」
「お二人とも、おはようございますです」
「チ。 遅かったか!」
「⋯? ゆうさん、どうしたです? イライラしているです」
「ああ? どうもしねぇよ。 俺はキャスと話してたんだ」
「実はお話しがありまして⋯⋯」
「俺はないよ。 さようなら」
「私はあるよ。 なにかな? ミリィちゃんとラムちゃん」
「お姉さん、私の名前まで覚えてくれたんですか?」
「当然だよ~ だってこんなにかわいいんだもん!」
横で吠える、オスは置いといて。 私は彼女たちを見つめる。
「私たちをバルテン王国に、連れて行ってください」
「ムリー お前たちは野生に帰れ!」
「理由を聴きたいかな?」
「バルテン王国は、どんな種族にも平等な国だって、評判です」
「そこでお姉ちゃんと、一緒に暮らすの」
「はあ? 平等? ⋯⋯おい、頭にカビでも生えてるのか?」
「いいよ。 一緒に行こっか。 でもラムは大丈夫なの? ⋯⋯ほら、昨日の今日だから⋯⋯」
「大丈夫! なんだか元気なんだ!」
「だろうな。 黒魔獣化はいわば、クラスチェンジだ、さぞ能力が向上したことだろうよ⋯⋯くそったれ」
「だったらいいね、よし行こうか!」
「オー!」
「オーです!」
私たちは一緒にバルテン王国を目指す。
「⋯⋯意味不明だ。 なんとかして、コイツらをキャスから離さないとな⋯⋯」




