第83話 血の整列王降臨
『我が名はノーム。 地を統べる者じゃ。 我から第三問目を言い渡すぞ!』
礼服姿の女が、王座から足を組み替えた。
妖精どもが、一斉に膝をついた。 さっきまで騒いでおった連中が、揃って頭を下げておる。
さっきから体がピリピリするが、コイツが原因かーー
「……地の精霊王」
ターコが、何かを囁きやがった。
ーー血の整列王? なるほどな!
「おい、ターコぅ!」
「なんです。 ……今は、貴方の相手をしている場合ではないのですが?」
「血の整列王ってなに者だゔ」
「はあ。 本人が言ってたでしょ。 難聴ですか、貴方は?」
「まあまあ、落ち着いて。 アメジスト、あまり彼女を挑発しないでくれ」
「あぅ? ぃんだの、見てればわかるだぅ!」
ノームとかいう女が、くつくつと笑った。
『第三問目。 ファナイが寝る時に、フレイアにいつも聞かさせた子守唄はなに?』
「知るかぇ!」
俺は、ノームに吠えた。 女は余裕に満ち溢れた表情で、俺を見下げた。
『俗世用に礼服に着替えたが、悪手だったの?』
「あぉ? 格好は、好みだぜぅ。 わざわざクビに紐をつけたりしてて、オサレだなぃ。 手の袖にある……丸いアクセサリーもいいず」
『ほほう? お主、わかっておるのう。 首元の奴は『ネクタイ』という装飾でのう。 この丸いのは『ボタン』じゃ!』
「へぁ? シャレてんなぁ〜」
俺が関心していると、隣でエメラルドが額を押さえておった。
「アメジスト。 そういう所は相変わらずだね」
『ほう? この難物は、意外とナンパ師なんじゃの?』
「なんだに、当然の発言をしたまでだ……イッテ」
「……むぅ」
「ターコ! なにしやがるってんだ!」
ターコが横から、俺の脛を蹴り上げて、さらには腕を抓りやがった。
『これはこれは。 ……罪な男よの〜』
「……今は、クイズの時間です。 集中しなさい!」
ノームは、頬杖をついた。 ターコは、それを睨んでいた。 そうだよな、敵だったな、忘れる所だったぜ!
「クイズの答えは、センレスの子守唄です!」
エメラルドが、顔を上げた。
「ああ。 優しい、眠り歌の代表だね」
『うむ。 我も好きじゃが、正解は……外れじゃ!』
精霊王は、深いため息をついた。
『うん。 あの二人は、普通じゃないのじゃ』
「もらった! トーンカーンだ!」
『残念、外れじゃ!』
「当たったと思ったのにな〜」
ーーおう? トーンカーンって、武勇伝曲じゃねえか! さすがに寝る前には聞かねぇぞ!
『して、筋肉』
「アメジストだぁ」
『筋肉。 お主、先ほどの答えは正解じゃった。 今回も期待しているぞ?』
あぁ、俺も答えろってことか? 眠くなるかーー
「軍事報告書だなぁ」
『おいおい。 それは、お前の眠る奴だろ!』
俺は、頭を掻いた。 ギャラリーの妖精たちの笑い声も聞こえおる。
『残念……正解はドナドナ行進曲だ!』
「ドナドナ行進曲ん?」
ーーなんじゃそりゃ?
「……商会に売られる子牛の歌ですか?」
「その歌が、子守唄の理由はなんなんだい」
『ふむ。 なんでも、フレイアの奴は子牛の売上を考えて、夢見心地になるそうじゃな。 ……ちなみに毎回、フレイアが先に寝て、ファナイが世話をしてたな」
なんじゃそりゃ? 俺たちはズッコケた。 ーー血の整列王。 やるじゃねぇか!




