第81話 妖精主催 ドキドキクイズ大会 ーーアメジスト視点
俺が門を開けると、待っていたのは小さく動き回る妖精たちと、謎の看板が立っていた。
ーー『ドキドキ! クイズ大会』
「なんだぃ、こりぅ!」
「二人とも大変だよ、ナナシたちがいない」
「……私たち三人だけの様ですね」
おい! それは、ヤベぇじゃねえか!
「……俺ぅ、扉を間違えたかぃ?」
「脳筋の貴方にしては、鋭い指摘ですね?」
「ゔぁ? なんだとターコぅ!」
「はいはい、落ち着いて。 ……同じ扉だよ。 僕たちだけ、ここに連れられたんだ」
ーー俺が周囲を見回していると、甲高い声がした。
「ようこそ〜! 挑戦者さま、いらっしゃーい!」
「ドキドキクイズ大会が始まっるよ〜」
見ると、羽の生えた小娘が飛んでいた。 妖精だ。 花飾りをつけた奴。
広間中に、何十匹も。 木の切り株に座ったり、ランタンを抱えたり、俺たちを指差してきゃっきゃと騒いでおる。
俺は目の前にいた妖精に、構えていた金槌を喰らわすが、ヒラリと躱された。
「きゃぁ! なにするんですか! 暴力反対ですぅ」
「なにぅ、当然のことをしたまでだぉ!」
「ちょっと、なにやってるんだアメジスト」
「すみません、ウチの馬鹿が……」
なんだよ、俺が悪いのかよ! 相手は敵だろ?
妖精はこちらを怯えた目で見てくる。 そいつの仲間たちが駆け寄って、俺をチラチラ見ながら、ぶつぶつと言葉を交わす。
俺が気まずくなって、視線を外すと。 横でも、ターコと隊長が俺をチラチラ見ながら会話していた。
ーーなんだよ、俺が悪いのかよ?
やがて調子を取り戻したのか、俺たちに妖精が話しかけてきた。
「お三方、こちらの解答席へどうぞ〜! 一番緑の席! 二番青の席! 三番、紫の席!」
木で組まれた解答席が、三つ。 垂れ幕には番号と紋章。 緑、青、紫。
「さあさあ、お席へ!」
「断るゔ」
俺は、大金槌を担ぎ直した。
「クイズなんぞに付き合う暇はねぉ。 道を開けろぁ」
「アメジスト、君は黙って」
「この脳筋のことは、ほっといて始めましょう」
「はい、始めましょう〜」
「アメジスト」
ターコイズが、静かに言った。
「席に着きなさい」
「あぁ? なんでだぁ」
「この妖精たちの指示に従いましょう」
ターコイズは、顔を上げた。 俺は、舌打ちして三番の席に座った。
ーー狭ぇ。 膝が入らねぇぞ。
隣で、エメラルドが一番の席に頬杖をついておった。 ターコイズは二番。 妙に様になっておる。 なんで、こんな状況で平然としてられるんだ?
「では、第一問!」
妖精が、小さな杖を掲げた。
「ファナイちゃんの大好物はなに?」
「知るかぁ!」
なんだよそれは。 知る訳ないだろうが。
「……なるほど」
エメラルドが、顎に手を当てた。 おい? なにが、なるほどなんだ!
ーーピコン。 な、なんの音だ?
「二番。 答えをどうぞ〜」
「エメジスの霊異炒め」
妖精が、ぱっと顔を輝かせた。
「正解〜! すごーい!」
「ルデンの香料煮付けと悩みましたが、無事正解でよかったです」
「さすがだよ、ターコイズ。 僕も負けてられないな〜」
ーー会場に拍手が起こる。 なんだよ、これ。 ついていけないのは俺だけか?




