第78話 金髪エルフの精霊召喚
「……で、どうするんだい?」
オニギスが、フレイアの首にナイフを当てながら言った。
「痛いわよ。 ナイフが首に当たったら、危ないじゃない……」
「そりゃそうだよ……このまま傷つけてもいいんだからね?」
「乙女の素肌を傷つけるですって! どういう教育を受けたのかしら?」
「さあ?」
拘束された状況でも、フレイアは冷静だった。 そんな彼女に、オニギスは不審感を抱きながら、交渉を始めた。
「さあ、早く言霊を解いて」
「嫌よ」
「じゃあ、このままだね」
「……ふふ。 わかっているじゃない。 貴方の推察の通りよ? 私が指示を出さない限り、一生動くことができないんだから」
「……やっぱりか」
フレイアは、床に顔を押しつけられたまま笑った。
「永続の束縛って、術者が死んだら解けなくなるでしょう? ……可哀想よね?」
私は、動けない体の中で聞いていた。 一生このままってこと?
「あれれ? なんでまだ、ナイフを突き立てたままなの? 早く解いてくれない? ……それがエルフに頼む態度なのかしら?」
「嫌だね。 開口一番に言霊を使ってくる奴に、かける情けはないよ?」
「そ、そんな! 聞いてないわよ〜 ファナイちゃん〜」
さっきまでの余裕はどこへやら。 フレイアは、ジタバタしながら涙を流し始めた。
「あ〜ん。 嫌だよ、痛いの嫌よ〜」
「だったら、早く呪縛を解いてよ?」
「わ、わかったわよ。 『解除』」
フレイアがそう言った途端に、体の自由が利いた。
「さ、さあ。 解いたんだから、早くどいてよ!」
「嫌だね」
「え?」
オニギスの答えに、一瞬意味がわからないという表情をするフレイア。
しかし。 その表情が段々と冷徹なものに変わっていったーー
「……貴方、嘘ついたの?」
「嘘もなにも……オイラは最初から、そんなことは言ってないけど?」
「許さない。 約束破りは、絶対に許さないわ! ノーム……」
フレイアが目を閉じて、呟いた。 ーーノーム? 地の精霊王?
ーー私は声を出していた。 早く止めないとまずい。
「オニギス! フレイアを止めて!」
「わかった!」
オニギスがフレイアにナイフを突き立てた。 ナイフがフレイアの肌を突き、血が出てきた瞬間、フレイアの血が光って宙を舞った。
『召喚に応じ参上した。 ……久しいなフレイア』




