第77話 言霊使いの金髪エルフ
金髪のエルフは、両手を広げてこちらを歓迎した。
「さて、赤髪の剣士さんがルビー。 白髪の魔術師さんがオパール。 緑髪の貴方がエメラルドね!」
「なんで、私たちの名前を知っているのよ?」
「ふふふ。 正解ってことね〜」
ーー姉さんがエルフを問い質す。 彼女は私たちの疑問には答えずに、喜んでいた。
「テメェ……なんでここにいやがる」
「あらあら、ナナシ。 怖がらないでよ〜 ふふ」
「……フレイア、お前がいるってことは」
ナナシは拘束されたまま、エルフーーフレイアを睨みつけている。
「アイツもいるんだな?」
「アイツ?」
フレイアは、首を傾げた。 けれど、すぐに閃いたように指を立てた。
「ああ、ルーブのことね! すぐそこにいるとも言えるし、まだいないとも言えるわね?」
「ハア? テメェー舐めてんのか!」
ナナシが、床を蹴った。
縛られたまま、肩から突っ込む。 ーー速い。 拘束されているとは思えない踏み込み。
『動くな』
「グァ」
フレイアが、短く言った。 ーーそれだけで。
ナナシの体が、空中で止まった。 そのまま、どさりと床へ落ちる。
「怖いわ〜 凶暴なカモネギちゃんね?」
フレイアは、倒れたナナシの前にしゃがみ込んだ。
「こんなのを、バルデン王国に連れ戻さないといけないなんて、ヨニーちゃんたち可哀想〜」
ーーヨニー? 聞いたことのない名前だった。 でも、ナナシの表情が変わったのは分かった。
「……」
「さてさて、物品確認っと」
フレイアは、ナナシの拘束具に手をかけた。
「ま、私にはもう、関係ないんだけどね?」
縄が、床に落ちる。 あれ、待って! なんで、誰も止めないの?
「……?……!」
ーー体が動かない。 その時、気づいた。 私たちは金縛りにあっていたのだ。
呼吸だけは、かろうじてできる。 けれど、それすら許されているだけという感覚。
「あら、気づいたのね。 言霊って知ってる?」
フレイアがこちらを見た。
「言葉に魔力を乗せる技。 私の得意技なの。 人間にはこれが効くでしょ?」
「……」
「大丈夫。 すぐに、楽にしてあげるから〜」
「……!」
まずい。 このままじゃ、殺される! ーーその時だった。
「へぇ? だったら、オイラには無効だね?」
「あら? え、ちょっと待って!」
「待たないよ?」
オニギスがフレイアに飛び乗った。 そして、あっという間に、フレイアを拘束したのだった。
「あらあら。 これは、予想外だわ〜」
「そいつは、残念だったね?」
「本当よ〜 まさか……」
ーー人間のパーティの中に魔物がいるなんて、思わないわよ?




