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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第75話 魔女の妙案 ーーファナイ視点

 儂は水晶玉から目を離し、椅子に深く沈んだ。 二十一層のキメラは全滅。


 まあ、アレは旧造じゃからのう〜 さて、次の手をーー


「ファナイちゃ〜ん。 聞いてるのかしら、私の話?」

「聞いておるのじゃ! 当然じゃろ、師匠!」


ーー儂は目の前にいる難敵。 かつての師匠であるフレイアに頭を悩ませていた。


 師匠は、儂の部屋に無遠慮に入ってくると、いきなり金を無心を始めた。


 儂が驚いていると、師匠はきょろきょろと周囲を眺め始めおった。


「ふうん。 いい部屋じゃない。 まさに成功者の部屋ね!」

「そ、そんなことないです!」

「いいわね、資産がっぽりで! 突然いなくなったから心配して、探してたのに……お陰で私は、お金稼ぎの場合じゃなかったな〜」

「ゴホン、ゴホン」


 儂は、咳払いをした。 婉曲に言って、儂に罪悪感を生ませる作戦かの?


「まずは座られよ」

「あら、ありがと」


 師匠は、素直に椅子へ腰を下ろした。 ーーそして。


「それで? いくらくれるの?」

「……へ?」

「当然よね? この技術は、私のモノなんだから!」

「……えっと。 リディ師匠の技術もありますです!」


ーー違うわい! 儂の技術じゃ! その気持ちを抑えて、答えた。


「でもねぇ、ファナイちゃん」


 師匠は、足を組んだ。


「冷静に考えてみて? リディは、そんなこと気にしないわ!」

「……うむ」

「だから、私だけに頂戴! さあ、マネーカモン!」


ーーなにが、このエルフを突き動かしているんじゃ?


「だって、そうよね? 魔術の基礎も、術式の組み方も、魔道具の作り方も、全部私が教えたのよね?」

「……そうじゃ」

「でしょ? ……だからね」


 師匠は、にっこりと笑った。


「あなたの功績、半分は私のものってことじゃない?」

「……半分は言い過ぎです!」

「じゃあ⒋95割でいいわ」

「あんま、変わってないです!」

「まあ! ケチな教え子……師匠、悲しいわ」


ーーこの女は。 三百年ぶりに会うて、よくもまあ、こうも変わらぬものじゃ。


「あのねえ、ファナイちゃん。 師匠への感謝は、形で示すものよ?」

「……」

「色々、種族や考え方に違いはあるけど、私は簡単! お金、マネーよ!」

「……儂は今、忙しいのです。 帰ってくれです」

「なるほど。 だったら、忙しい人ほど、お金の管理は他に任せるものよ。 私に任せない? 大事に保管するから!」


ーーああ、面倒じゃ。 儂は額を押さえた。 盤面は動いておる。 今が最も重要な局面じゃというのに。 なぜ儂は、金の無心を受けておるのじゃ?


 師匠は、まだ喋っておった。


「それにね。 私、こう見えて結構強いのよ?」

「……存じておる」

「今の私、昔よりずっと強いの。 三百年、遊んでたわけじゃないもの」


 師匠は、胸を張った。


「だから、お金をくれたら、そのぶん働いてもいいわよ? 用心棒でも、荷物持ちでも……」

「……? ……!」


ーーその時じゃった。 儂のなかで、最高の考えが浮かんだ。


 儂は、師匠の顔をまじまじと見た。 この女は、強い。 それは儂が一番よう知っておる。


 儂が弟子だった頃。 この女は、山賊の一団を黙らせた。 「交渉」などと言うて、結局は全員の財布を奪って帰ってきた。


ーーそして今。 ダンジョンには、憎らしい凡人どもがのさばっておる。


「……師匠」

「なあに?」

「お願いがありますです……」


 儂は、ゆっくりと立ち上がった。


「師匠は、強いと申しましたです?」

「あら。 疑ってるの?」

「疑っているです」

「失礼ね!」


 師匠が、立ち上がった。 ーーかかった。


「じゃあ、儂に見せてはくれんか」

「見せる?」

「師匠の実力を、じゃ」


 儂は、杖を床に突いた。


「このダンジョンにな、ちょうどよい『試練の間』がある」

「試練の間?」

「二十五層じゃ。 そこにこれから来る者を倒せたなら、儂も認めよう」

「あそこね〜」


ーー丁度、次の置物に苦戦していたのじゃ、一石二鳥じゃわい。


「ふうん? 倒したら信用してくれるの?」

「……無論じゃ」

「いくら?」

「……言い値で」


 師匠の目が、ぎらりと光った。


「報酬は、倒した数に応じて払うです」

「ファナイちゃん! あなた、やっぱりいい子ね!」

「フォフォ。 師匠のためじゃ」


ーー師匠はそう言うと、駆け出して行きおった。 


「フォフォフォフォフォ……」


 儂の口から、笑みが漏れる。 潰しあえ、全ては魔王ヘリオドール様のためにーー

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