第74話 腐食キメラを撃退
第74話 腐食キメラを撃退
オニギスのナイフが、キメラの胴体ーーオーガと蜘蛛の中間の継ぎ目で光っていた部分に突き刺さる。
「傷の腐食が止まったわね!」
オニギスは、軽やかに飛び退いた。
「こいつら、二匹を強引に縫い合わせて作られてるだよ」
ーー強引。 その言葉に私は、オーガに同情した。 でも、オーガの顔は笑っていたから本望だよね?
「ルビー継ぎ目を狙って!」
「わかったわ!」
姉さんが、両手剣を構え直した。
私は、氷を床に放った。 ーー今まではできなかった芸当。 でも、今ならできる。 氷が、床を這った。
石の上を舐めるように、キメラの足元へ。 蜘蛛の脚が凍る。
オーガがこちらを忌々しく睨みつけている。
「もらったァ!」
姉さんが跳んだ。 両手剣が継ぎ目を両断した。
ーーずるり、と。
オーガの上半身が、蜘蛛の下半身から滑り落ちた。
今度は、再生しなかった。 二つに分かれた体は、じゅうじゅうと音を立てて溶けていく。 ーーまるで、形を留める理由がなくなったように。
「……やったわ!」
「ナイス、オパール!」
私たちは勝った。 早く、エメラルドを援護しよう!
ーーそう思っていたんだけど。
「うん。 さすがだよ二人とも」
エメラルドは、何事もなかったように私たちの横に立っていた。
「くたばってくれればよかったのに……」
「残念だったね。 君の出番がなくて?」
「ちっ」
ナナシが悪態をつきながら、ぶつぶつ言っている。
「こっちは終わりだね」
オニギスが、ナイフを回しながら言った。
「で、あっちは」
通路の奥から、派手な音が聞こえていた。
ーーごしゃ、ばきん、どごん。
誰が何をしているか、音だけで分かる。
「……アメジストさんね」
「うん。 様子見に行こうか」
通路を抜けると。
ーーキメラだったモノが転がっていた。
既に溶け始めているーーまるで、ダンジョンに回収されたように。
その真ん中に、大金槌を担いだ大男が立っていた。
「けぇ。 遅かったなぁ」
「アメジストさん、継ぎ目のこと知ってたの!?」
「あぁ? それぅ……」
「私が筋肉ダルマに教えました……」
私たちは声の方を見た。 ターコイズがふわりと降りてきた。
「お前ぅ、見てただけじゃねぇかぃ」
「空から観察していました。 貴方が泣き出して、私に乞うて来るのを待っていたのです……」
「ずりぃぞ!」
ーーこの二人、本当は相性バッチリなんじゃ?
とにかく、私たちはキメラに勝ったんだ。 でもこれから下には、こんなキメラがいるのかな? ーー心配になって来たんだけど。




