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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第72話 未開の地は腐食地帯

 いよいよ立ち入った未開の地ーー第二十一層。


 二十二層へ降りる入り口は、すぐそこだった。 段々、狭くなってきている。


「……もうすぐ、最下層じゃないかしら?」

「オイラもそう思ったんだけどね……」


 オニギスが足を止めた。


「構造が違うんだよ。 魔物が掘っただけじゃない」

「どういう意味よ?」

「……」


 壁を見ると、紫の壁が音を立てていた。


 私は、壁に触れてみた。 ーーざらつく。 


「……ああ。 さわちゃったか」

「え?」

「今すぐに、手袋を脱いだ方がいいよ?」

「……う、うん」


 オニギスの指示通り、私は手袋を取った。 手袋は地面に落ちて、溶けていった。


「危なかったね」

「……気持ち悪い」

「オパール、ここはダンジョンなんだ。 迂闊な行為はしないことだよ……」

「本当よ! なに考えているの! はい、手袋……」

「ごめんなさい……」


 好奇心、猫をも殺すだよね。 私は、体を縮こませた。


「全員、布を。 ……オニギス」

「はいはい」


 オニギスが、各自に布を配った。 ターコイズが持たせてくれたものだ。 口と鼻を覆うためらしい。


「あぇ? こんなもんいぅか? 俺はいらねぅ」

「つけた方がいいよ」

「へぅ」


 アメジストが、胸を張って言った。


「俺ぃ、一度ここまで来たことがあるんだぅ。 ……その時は、布が溶けて引き返したけれどぇ」

「アメジストさん、大丈夫なんですか?」

「ああ。 今回は厚手だぜぇ」

「なるほど……」


 姉さん、そう言う問題じゃないよ。 手袋を溶かした私が言うのもおかしいから言わないけれどーー


 第二十二層に入ると、一部分で雨が降っていた。


「……雨が降ってるみたいね」

「酸の雨だけどね」

「え、危険じゃないの?」

「コッチが安全だよ。 オイラについて来て……」


 オニギスが、進路を選びながら言った。


「それから、真ん中を歩いて。 壁際は危ないよ」


ーーその時だった。


「止まって。 来たよ、来てほしくなかったけれど……」


 奥から、音がした。 濡れた何かが、石を踏む音。


 そして、現れた。 ーーオーガ?


 いや。 足元は蜘蛛だ。 でも、大きさが違う。 人間ほどもある胴体に、八本の長い脚。 そして、その全身が腐っていた。


「……腐食キメラかぁ?」

「初めて見るね」


 アメジストが、得物を抜いた。


「一体じゃない。 囲まれてる」


 気づけば、後ろにも。 ーー後ろと言えばあの二人だ。


「……おい、外せ」

「いいや、僕の役目は君の監視だからね」


 エメラルドが剣を構える。 新しく用意した剣だ。


 ナナシは、全身拘束されていた。 絶対に逃げられないようにーー


 ーー私たちの、それぞれの戦いが始まった。

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