第20話 覚醒 黒魔獣 ーーラム視点
お姉ちゃん、遅いなぁ。 のんびりお散歩しているのかな? 私も出掛けたいのにズルいよ。 私は椅子に座りながら、足をパタパタ。
すると、ドアが叩かれる音がしたよ。 やっと、お姉ちゃんが帰って来た! もう、遅いんだから。 私は笑顔で玄関に向かいます。 そして、ドアを開けました。
「もう。 お姉ちゃん、遅い⋯⋯おじさん誰?」
「おじさんだと? 失礼なガキだ。 ⋯⋯いらないよなぁ~ そんな目」
「やめて! 触らないで!」
私の抵抗は虚しく。 不気味な笑顔の人間が私に手をーー
「ウゥ⋯⋯いたいよ⋯⋯」
ーーあれ? ここはどこ? 私はたしか、人間に殴られてーー
「⋯⋯同じく獣人族に向かった二人は、まだ帰って来ていません」
「ふん。 どこで道草を食っているんだ? アイツらは」
人間に殴られた頭が、ズキズキ痛くて動けない。 でも状況はわかった。 どうやら、私は捕まってしまったらしいーー
ここは、洞窟かな? 真っ暗で何も見えない。 そんな中、声だけが私に問いかける。
「チィ。 おいガキ! やっと目が覚めたのか。 ああ、どうせ腐ってやがるし、動かれたらうざったいから、くり抜いてやったぜ」
「え?」
そういわれた途端。 目元に強烈な痛みがはしる。
「アァァー痛いよ!」
「ウゼェ。 ああ、声も潰しておけばよかったな~」
すると喉にも、痛みがはしった。 でも、今度は声が出ない。
「ついつい切りすぎちまったな⋯⋯血塗れになっても、コイツに価値があるかな? これじゃあ、白獣人というより、赤獣人か、ははは」
ーー痛い、痛いよう。
どうすることも、出来ない痛みが、私を襲う。 早く気絶したいーー
「おっと、気絶すんなぁよ、血塗れ。 もうじき、お前の姉も来るからさ~ はてさて? そっちの体はどれだけ無事かなぁ? それが終わったら、あの肥溜めだ⋯⋯街ごと焼くか」
「⋯⋯⋯!」
街を焼くだって? あそこには、みんながいるのに! ーーさせない! 絶対に!
「アア? ⋯⋯なんだこれは。 おいガキ! 今すぐに力を抑えろ、ギャア!」
「ヴァア ニンゲン!」
出せないはずの声が漏れる。 そして、目が開く。 私の体の傷が修復している?
そして、なんだろうこの気持ち。 心がドキドキするよ。
ーーこれは! オサエキレナイ。
「アニキ! ⋯⋯なんですかいこの化け物は!」
「止めろ! なんとしても、捕えろ!」
イクラデモイイ。 ニンゲンドモ、ツブスーー
「⋯⋯そこまでだ、ラム。 お前に人は殺させない」
「⋯⋯?」
ナンダ? ナゼ、シッテル? ワタシノ、ナマエーー
「おいおい! どこから入って来たんだ? 餓鬼? 小鼠チビはお家で、おねんねの時間ですよ~」
「寝るのはアンタらよ」
「女? ⋯⋯いや翼が! 力が抜けて行く⋯⋯ まさかサキュバスか!」
「あれれ~ バレちゃった? じゃあ、お兄ちゃんたち~ おやすみ~」
「クソ! ⋯⋯なぜだ、サキュバスは滅びたはずじゃ⋯⋯あぁ」
ウゥ。 ナニガオキタ?
「ラム!」
「⋯⋯!」
コレはーー 私、どうしたんだろーー
「ラム! しっかりして!」
「⋯⋯お姉ちゃん」
お姉ちゃんが、私を抱きしめる。 私、助かったんだーー
「ラム! どうしよう⋯⋯」
「⋯⋯黒魔獣化の副作用だな⋯⋯」
「黒魔獣化? なによそれ?」
「キャスには関係ない話しだよ⋯⋯思い出すだけで、忌々しい⋯⋯おい! さっさと帰るぞ。 コイツらのことは⋯⋯」
「我々にお任せください⋯⋯コイツらの裏にいる奴らごと根絶やしにしてやる!」




