第67話 それは、私たちに縁がない話
ターコイズが語り終えると、広間が静まり返った。
ーー当然だ。 意味がわからないことをまた言ったからだ。
「……なじゃぇ?」
アメジストが、眉をひそめた。 心底、理解出来ないと言った表情だ。
ターコイズは、静かに答えた。
「貴方に理解してもらうために語った訳ではありません。 単細胞生物さん」
「なんだゔ? 毎度毎度、俺を罵倒しやがって……」
「北に眠るは、夢の像」
エメラルドが、低く呟いた。
「……とにかく。 それが君の伝承の一つなんだね?」
「そう解釈しています」
オニギスが、指を一本立てた。
「その伝承、オイラたちに関係あるの?」
「さあ? 多分ありませんね」
ーー私たちは、全員で椅子ごところげ落ちた。
「この事実に気づくとは……鋭いですね、オニギス」
「情報屋だからね」
オニギスは、けらけらと笑った。 ーーいや、そうじゃないでしょう?
「……少なくとも、ここから脱出しない限りは、ね?」
「その通りですね」
ターコイズの指が、止まった。
「……地上、ですか。 思えば、最後に光を浴びたのはいつでしょう?」
ーーその視線は、まるで日差しを期待している様子だった。
「……なんでゔぁ。 簡単じゃねぇかぅ」
アメジストが、立ち上がった。
「俺が全てを叩く。 ターコは日の光を見る」
「……? アメジスト?」
「テメぇの願いなんざ、この俺が叶えてやるざ!」
「……格好つけたね、君」
「うるせぇ隊長ぇ!」
エメラルドとアメジストが言い争いになって、この話は有耶無耶になったけど。
私は、ターコイズがちらっと、微笑んでいたのが見えたんだーー
姉さんと牢屋の方へ歩いた。 ナナシがいる場所だ。
「起きてたの?」
「ふん。 わざわざ俺に聞こえる声で会話しやがって……」
ナナシは、こちらを見なかった。
「ナナシ。 明日、下へ行くわよ」
「……」
「あんた、最下層に行きたいんでしょ。 私たちが連れて行ってあげる」
ナナシは何も言わなかった。
「私たちも、最下層に用ができたの。 だから、利害が一致した」
「……ふん」
それだけ、口からこぼすと。 興味がないようにソッポを向いてしまった。
ーーねえ、ターコイズ? 本当にコイツが勇者なの?




