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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第64話 男たちの戦場 ーー影丸与一視点

 「拙者が引きつけるでござる。 ……そちらは好きにされよ」

「言われんでもそうするわい」

「じゃあ、僕は準備する」


ーーこの親子、連携する気がまるでないでござる。 まあよい。 拙者も、群れるのは性に合わぬ故に。


『ォォオオオ……!』


 腐食竜が、構えておる。 これはなにか飛んでくるでござるな。


「伏せられよ!」


 酸のブレスが竜の口から放たれた。 触れたもの全てがとける、当たれば終わりぞ。


 拙者は屋根へ跳んだ。 瓦を蹴って、さらに上へ。


「忍法、影分身!」


 拙者の姿が、五つに増えた。 正確には、四つは幻影でござるが。 竜には区別がつくまい。


「どうでござるか?」


 竜の首が、一瞬だけ迷うように揺れた。 しかし。


 一瞬で、全てを溶かしにかかられたでござる。 無念!


 マルクが駆け出した。 ーー速い。 あの老体で、なんという踏み込みでござるか。 竜の前脚へ。 剣が閃く。


 ーーぎん、と硬い音。 腐っている癖に頑丈な肉体よ。


「……硬い!」

「マルク殿! 鱗は避けられよ! 剣が腐るでござる!」

「……あの剣であれば、腐らなかったろうに……」


 マルクの剣が、みるみる黒く変色していく。 ーー腐食。 厄介な竜でござる。


「ふん。 ……ならば、こうじゃ」


 マルクは、剣を投げ捨てた。


「武器なら……そこらに落ちておるわい!」


 マルクは、倒れた冒険者の脇から剣を拾い上げた。 そして、また斬りつける。


 腐る。 捨てる。 拾う。 斬る。 ーー延々と。


「……なんと、粗雑な行為よ。 あの剣とやらはどうしたでござるか!」

「ナナシに譲ったわい! ……別にお前と違って、盗られた訳じゃないぞ」


ーーなんと、ムカつくジジイか。 だが、戦法は合理的でござるな。


 腐るのを承知で使い捨てる。 武器はこの街にいくらでも転がっておる。 ーーなるほど、これが実戦を知る者の戦い方でござるか。


「二人とも、そのまま引きつけててね」


 ルミス王の声が、後ろから聞こえた。 此奴、なにをしておるでござるか?


 拙者は跳びながら、ちらりと振り返った。


 ーーそして、目を疑った。 なにかを構えておる。


「何をしておられる!」

「名付けて飛ぶ玉だよ!」

「……そんな小物で、ドラゴンを相手できる訳なかろう?」

「いや、僕は、これが一番有効だと思うね」


 王は、豆鉄砲を作っていた。 笑止。


「あの竜の肉体。 偽りだよ。 ……本体がどこかにある」


ーーなんだと? 左様でござるか?


「ふん。 小賢しい知恵だけは回りおる」


 マルクは、ルミスを見て、ため息をついているでござる。


『ォォオオオオ!』


 竜が、咆哮した。


「マルク殿!」

「ふん!」


 マルクが、竜の正面へ回り込んだ。


「儂の顔をよう見ろ、木偶の坊!」


 そのまま、竜の顎へ向かって跳んだ。 剣を、竜の口の中へ叩き込む。


『グォ――!?』


 竜が、口を閉じられなくなった。 ーー剣が、顎の支えになっておる。


「ルミス! やれ……」

「さすが父上の影武者!」

「本物だと……言っているだろうが!」

「よし、僕の自信作ルミス玉いけ!」


 ルミスが、豆鉄砲を発射した。 豆鉄砲は、直線を描き。 まったく検討違いの場所に飛んでいったーー


「……」

「……」

「……」

「おい?」

「僕射的苦手だよこの距離じゃお手上げだね。 影丸くん! 運んで!」

「嫌でござるよ」


 巨体を運ぶ趣味はござらん。 諦めよーー


「貴様ら! 儂の活躍を棒に振りよって!」


ーーああ。 剣の柄も全部溶けたでござるわ。


『グ……ォ?』


ーーほれ見ろ! 竜も戸惑っておるでござる。


「残念。 せっかく、弱点がわかったのに」

「弱点だと?」

「本当にござるか?」

「うん。 あそこの喉仏……」

「喉仏が弱点なのね?」

「「「?」」」


ーーなんでござるか? また、やな予感がするでござる。


 拙者が声の正体を探すと、なぜか竜の上に乗っていた。


ーーあの女。 いつの間に、拙者気づかなかったでござる。


「おはよう。 こんにちは。 こんばんは。 ミアだよ〜 今から、ミアがこの竜ちゃんを一撃で撃退します〜」


 そういうと、彼女はいつの間に構えたのか、ナイフを持っていた。


「おお。 カメラマン、注目なの! 喉仏のところ明らかに、色が違うの〜 今から、ミアが刺しちゃいます〜」


ーー嘘でござろう? 竜よ! そんな黒猫女をさっさと吹き飛ばしてくれでござる!


「あれ、腐食竜は気づいてないね」

「なに? ……まさか?」

「ふん。 やはり、あの女。 実力を隠しておったか」


ーーあの猫耳女。 拙者側だったでござるか?


そのまま、貼り付いて。 的確に刺し貫いた。 ーー嘘でござろう?


『ォォオオオオ!』


「読者のみんな! ミアに拍手なの! むさい男よりも、ミアが一番目立つの!」


ーー拙者の見せ場が、あの猫耳女にぶん取られたでござる。

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