ここまでの流れ ーーファナイ視点
フォフォフォ。 さて。 そろそろ、盤面を整理しておくとするかのう。
儂は暗い通路に腰を下ろし、杖の先で床に円を描いた。 ダンジョンの断面図じゃ。 二十層まで、順に線を引くぞい。
どこに誰がおるか。 誰が何を知っておるか。 それを並べるのが、儂の一番の楽しみでな。
ーー儂は、空間と時空を司る魔女。 どの時間軸であろうとも、儂の前では些事よ。
◇◇◇
まずは、地上じゃ。
冒険者ギルドはダンジョンの封鎖を決めた。
残っておるのは、猫の子が二匹。 バルデンの王と王子。
そして、異郷からきた忍びに、盲目の修行僧が一人。
◇◇◇
第一層から第十四層。 ーーここはもう、空の時空にした。 冒険者も、住民も。 全部いない空間の時空にのう。
次に第十五層じゃが、ここは二つの時空が交差している。
まずは、バルデンから来た者どもじゃ。
若造の魔術士。 学園長。 サキュバスの娘。 白い獣の姉妹。 寡黙な男。 そしてローブの女ーー
此奴は何者じゃ? 本性をみせん。 儂を欺くとはのう。 まあよい。 あれは、後で考えるとしよう。
其奴らは、儂の傑作が産んだ卵の内一つを破壊したようじゃ。
じゃが、お陰で苦労しておるようじゃの〜
◇◇◇
そして、もう一つの時空の第十五層。 数十年かけた儂の最高傑作が、ただの若造魔術士にほぼ瀕死まで追い込まれた。 実に腹立たしい。
緑髪の隊長。 赤髪の剣士。 白髪の魔術士。 そして、紫髪の大男。
四人は今、下へ向かっておる。 第十六層、第十七層と。
◇◇◇
そして、第二十層。
人が到達した、最も深い場所。 エターナルパーフェクト教団の出張所。
そこには、意味不明な奴らがおる。 なんじゃ、アイツらは?
勝手に憶測を立てておる。 あれが信仰信教って奴かの?
そして、情報屋の小僧。 檻の中に、あの小僧が転がっておる。
「ナナシ……いや。 勇者ヘリオドール、か」
死に戻りの小僧。 何度死んでも戻ってくる、時の外れ者。
今のナナシは何度目じゃ? 儂の知っているナナシはーー
「ファナイちゃん〜 元気だった?」
しかし、儂の思考は中断された。
「……フレイア師匠」
「よかった! 覚えててくれたんだ! ……ちょっとお願いがあるんだけど……」
ーーお金くれない? 久しぶりに会った師匠は、儂に笑顔でそう言った。




