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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第57話 腐食竜討伐

 「……なるほど……そう言うことだったんだね」

「なにかわかったの?」


 エメラルドが、解決方法を見つけたようだ。


「ルビー、オパール。 こいつの弱点が分かったよ」

「本当!?」

「奴の弱点は、首の付け根だ」


 私は、腐食竜の首を見た。


 ーーある。 黒い縄が食い込んでいた痕が、輪のように残っている。 その部分だけ、鱗がない。 そして、変なマークがある。


「……あそこが奴の本体さ……」

「本体……」


 エメラルドが、得物を構え直した。


「こいつは、解き放たれた瞬間から、自分の毒で溶け始めてる」

「……体は見せかけってこと?」

「いや、ナニカによって、限りなく模倣されている……」


 エメラルドは、静かに言った。 私は、竜を見上げた。


 全身の腐敗が、さっきより進んでいる。 鱗が次々に剥落し、露出した肉が黒く濁って、床に滴り落ちていく。


 放っておいても、この腐食竜は死ぬ。 しかしーー


「こいつは暴走する。 おそらく、上に向かうだろう……」

「じゃあ、地上に出たら」

「麓は陥落さ。……さっき言った通りだよ」


 私は、拳を握った。 結局、殺すしかない。 


「オパール」

「……大丈夫」

「うん。 いい子だ」


 エメラルドは、私に優しく微笑んだ。


「作戦を言うよ。 ルビー、君は正面で耐えてくれ」

「任せなさい! ……でも、剣がもう保たないわよ」


 姉さんの剣は溶け始めていた。


「すまない、一撃でいいんだ! 耐えてくれ……」

「まったく、無茶振りね!」


 姉さんが叫んだ。 でも、その顔は笑っていた。


「オパール。 君は氷で目を潰し続けて。 こいつの視界と意識を奪って」

「わかった」

「そして僕が」


 エメラルドは、得物を握り直した。


「首の付け根に、これを刺す」


 姉さんが飛び出した。 竜の正面に立ちはだかる。 尾が薙ぎ払われた。 姉さんが受ける。


 姉さんの足が地面を削って、後ろへ滑る。


「ぐ……っ!」

「姉さん!」

「大丈夫……よ」


 私は氷の槍を放った。 一本、二本、三本。 竜の目に突き刺さる。


 少しでも、気を逸らさないと。 姉さんを守らないとーー


『ォォオ!』


 竜が首を振る。 私のことを苛立たしく睨んでいる。 闇雲に首を振り、口から酸のブレスを吐き出す。


「ルビー、下がれ!」

「わかってる!」


 姉さんが飛び退く。 ーー床が溶けて、煙が上がった。


「大丈夫? 姉さん?」

「一滴だけかかったわ……」


 見ると、 姉さんの服が前掛けごと溶けていた。 まともに浴びたら、骨も残らないだろう。


「今だ」


 エメラルドが跳んだ。


 私の視界から、一瞬で消えた。 次の瞬間には、竜の背にいた。


「大人しく、成仏してもらうよ?」


 得物が、首の付け根へ突き立つ。


『ォ……ォォ……!』


 竜が仰け反った。 エメラルドが飛び上がって大声で私に指示を出す。


「オパール! 今だ! 大魔法を喰らわせてやれ!」


 私は体内の魔力を全部集めた。


「大魔法…… フロストゼロ・パイル!」


 腐食竜の頭上に、突き立った氷の釘が現れて、串刺しにした。


 巨体が、ゆっくりと傾いだ。 舞い上がる粉塵。 そして、静寂。


「……はあ、はあ」

「すごいな……これはさすがに……」


 私は膝をついた。 魔力を、使い切ってしまった。


 姉さんが私の背中を支えてくれた。


「よくやったわね」

「……姉さんも」


 エメラルドが降りてきた。 私は、崩れた竜を見た。


 濁った黄色の瞳が、こちらを向いていた。 動いた!


 ーーまだ、終わってない! 


「危ない!」

「「!」」


竜の鉤爪が私たちに向けられた。 二人は、武器もなくなり丸腰だった。


ーー私たちはここで終わりなの? その時だった。


「バウンドクラッシュ!」


 一つの掛け声とともに、腐食竜は粉々に砕けた。


「……やれやれ。 もっと早く来てくれてもよかったのに……」

「なんでぅ。 せっかく、助けたんだからぃ、感謝しろぁ!」


ーー現れたのは、紫髪の大男だった。

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