第44話 獲物を狩る時
翌朝。 ダンジョンの入り口前に、私たちは立っていた。
こうして、ここに来るのは初めてね。 これがダンジョンかーー
入り口には、急遽作られた鉄の扉があった。 その前にギルドの役員が並んで、深々と頭を下げているわね。
「……どうか、ご無事で」
「生きて帰って来てください!」
ギルド役員の人たちが真剣な表情で見送ってくれるわ。
「ご主人様! 気をつけてくださいニャ!」
「モゴモゴ……」
「プリンも気をつけてって言ってるです!」
ーー違うわよ、拘束を解いてって言ってるのよ!
「……」
「行ってくる」
「ええ。 無事の帰還をお祈りいたします……」
向こうでは、ルーブとリディと名乗る謎の黒ローブの人?が、ヨニーとお別れの挨拶をしているわ。
「ミルフィ……もしもの時には、お父様によろしく」
「姉さん。 そんなこと言わないで、ワタクシは待ってますから……」
ミルフィ、大丈夫。 私が、バニラを守るからね。
「ミート。 気をつけてね、待っているから……」
「ミア。 見送りは笑顔がいいのじゃ。 絶対に帰ってくるからのう」
互いに声をかけあって抱き合っているわね。
ーーそうよね。 ミート学園長はずっとミアのカウンセリングをしてたんだもんね。
「……ルミス様」
アゼッタが、落ち込んでいるわね。 結局、ずっと言い争った後に喧嘩別れしたのよね。
「モゴモゴモゴ!」
「……なにを言っているのよ」
「大丈夫、私が守ってあげるからって言ってるです!」
「アゼッタ、良かったね?」
「別に……」
ラムがアゼッタに微笑みかけている。
ーーさあ、出発よ!
◇◇◇
「行ったでござるか……」
ーーふむ。 邪魔者は消えたでござるな。 今が、襲撃の時。
そもそも、拙者がここにいたのは、獲物の狩り時を待っていただけのこと。
それが、今この時だった、だけでござる。
ーー拙者は気配を消して、獲物の場所へ向かう。
「今頃、みんなダンジョンに入ったかな? アゼッタ。 君や僕があのダンジョンに行っても、足手纏いになるだけだと思うんだけどな……」
ふむ。 ルミスは最後まで、アゼッタが行くかどうかで揉めたあげく、喧嘩別れをしたでござるな。 それが、主の最後の別れになるとも知らずーー
「……」
吹き矢を咥える。 先端には、即効性の毒が塗られておる故。
ーーフッ。
奴の頸に当たる。 これで任務完了でござーー
「影丸与一……現行犯だ」
「……なんのようでござるか? おいぼれは、おいぼれらしく床に伏せっておればよかろうに……」
「そう言う訳にはいかないだよ? 今、僕に毒を射ったね?」
「……」
ーー拙者は、どうやら嵌められたようでござるな。




