第43話 メンバー編成会議 ーーキャス視点
ギルドの会議室に集められたのは、バルデン王国からやって来た私たちね。
ーーなんか。 変な状況の師匠とか、ローブ羽織っている謎の人とかいるけど。
「では、ダンジョンに入るメンバーを決めるのじゃ!」
ミートが地図を広げた。 ーーダンジョンの断面図。 第十八層までしか描かれていないわね。
「ルミス王子とそこでギックリ腰を患っている馬鹿は、居残りメンバーじゃ!」
「ば、馬鹿とはなんだ! お前にもいつか、この魔女の一撃の恐ろしさがわかる時がくるだろう……ガク」
「そんな状況で言われても、なんとも思わんわい……」
ミートは、そう言うと侮蔑の笑みを師匠に返した。 師匠は失神してしまったわ。
ーーせっかく格好つけていたのに、おじいちゃんなのに無理するから。
バニラが遠慮するようにこう言った。
「お力になれず、申し訳ないニャ……」
「いいんじゃ。 元々、この馬鹿には後方指揮を頼もうと思っていたのじゃ」
さすがミート。 学園長なだけあるわね。
それを聞いて安心したバニラが話を続ける。
「私たちが降りるのは、最下層になると思います……」
「うむ。 ゴールはどこかわからんし、生きて戻れるかわからん……」
ーーこれは会議室に緊張が走るわね。 それにしても、初めてのダンジョンで命懸けってちょっと物騒よね。
「ミアはパス。 なんでそんな所入らないといけないのかしら……」
ミアは、ネコミミを触りながらこう言った。
「……なんじゃいミア? 『読者』がいるかもしれんぞい?」
「……ふん。 今もいるわよ。 ずっと前からいてたの。 なのにミアは、ずっとこんなテンションで過ごしてしまったの。 オーマイなの……」
「ふむ。 ミアは、居残りじゃの」
ーー読者。 つまり、神ってことよね。 ミアはいつも私に神がついているって言うけど。
「ルミス様! 私……」
「アゼッタ、君も居残りダ」
「でも……フレイアが!」
「アゼッタ!」
珍しく、ルミスが語気を強めたわね。 それにしても、やっぱり二人はそういう仲だったのね? へえ?
「水晶代の弁償なんて、どうでもいいんだ。 僕は君がそばにいてくれるだけで……十分なんだ……」
「いえ。 ルミス様、私よりもきっと適任がおりますので……」
「……アゼッタについては一旦保留じゃ。 よいな」
「「はい……」」
ーーあら? 声と表情がお揃いね。 いい感じじゃない!
「僕も志願いたしますニャ。 キャスが行くなら当然……」
「駄目じゃ」
「……」
プリンが手を挙げたまま固まった。 ミートは、腕を組んだまま続けた。
「儂はお前の父から、お主を預かっておるのじゃ。 危険な目に合わせる訳がないのじゃ。 ……当然ミルフィもじゃ」
「「……」」
バニラは、ショックを受けているミルフィとプリンに笑みを浮かべた。
「大丈夫ですニャ! プリンの主人は、ニャーが護るニャ!」
「バニラ姉さん……」
ーーうん。 私はきっと大丈夫だからね。
「次。 ミリィとラム」
「行くです!」
「……行くよ」
ミリィが元気に手を挙げる。 ラムは、少し迷ってから頷いた。
ーーラム。 大丈夫かしら? ダンジョンの中で黒獣化したら危ないわよ?
「ラム? 大丈夫です?」
「うん。 ナナシって人が入っているなら大丈夫だよ」
「です? ナナシって人と関係あるです?」
「あるよ」
ーーなら、私がミリィとラムを守らないとね。
「……私も残ります」
「うむ。 妥当じゃろ」
ーーヨニーちゃんも残るのね。 それはそうよね。
「……」
「うむ。 ルーブとリディはダンジョンへ行くのじゃな」
ーー寡黙なルーブ君と謎のローブの人も一緒に来るのね。 へえ、名前がリディって言うんだ? 噂で聞いたサキュバスよね? ーーもしかして知り合い?
「拙者は辞退するでござる……」
「うむ。 これで大方決まりじゃな! では、ダンジョンの突入のタイミングは追って知らせるでの、解散じゃ!」
ーーみんなが、去って行く。
「さあ、私たちも宿泊所に戻るです」
「キャス行こうか?」
「モゴモゴ」
私は目元以外の、ありとあらゆる場所を拘束されていた。
私が衣服を脱がないようにするためらしいけど、口まで塞ぐ必要はあるのかしら?




