↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/244

第27話 ヌイセマカの逆襲

 鉄格子の向こうで、看守が同士討ちを始めた時。 俺たちは、嗤っていた。


ーーざまぁねぇ! やり合え、殺し合え! 無様になぁ?


 第三層、特殊牢獄。 日の光も、時間の感覚も届かない石の穴。


 俺たちはここで腐っていた。 鎖に繋がれ、屈辱を味わった。


 ーーそこへ、あの咆哮が降ってきた。


『ォォオオオオ……オオオオオォォォォ……!!』


 骨の芯を掻き回すような声だった。 看守どもは頭を抱え、白目を剥き、そして互いに武器を向け始めた。


「……お頭。 あいつら、狂ってますぜ」

「ああ」


 俺は、格子越しにその光景を眺めていた。


 不思議なもんだ。 あの声は、俺たちには何も起こさなかった。


 ーーいや。 違うな。


 俺たちにはもう、狂う余地がなかっただけだ。 憎しみで満たされた器に、これ以上、何も入りゃしねえよ。


「鍵だ」

「へへ、いただきました」


 倒れた看守の腰から、鍵束が転がってくる。 あっけないもんだ。 開かなかった扉が、乾いた音を立てて開いた。


 外の空気は、血の臭いがした。 最高の歓迎だな。


 上に登れば捕まる。 なら、目指すなら下だ。


 第四層は、地獄になっていた。


 冒険者どもが殴り合い、喚き、転がっている。 誰も俺たちを気にしない。 好都合だ。


 俺たちは壁際を這うように進んだ。 ーーその時だった。 聞き覚えのある憎らしい声が聞こえてきた。


「エメラルド! こっちの通路は塞がってるわ!」

「じゃあ迂回だね。 急ごう、あの馬鹿に追いつかないと」

「姉さん、足元。 人が倒れてる」


 ーー俺たちの足が、止まった。


 瓦礫の陰から覗く。 混乱を突っ切って、下へ向かう三人組がいた。 黒衣の隊長格。 そして赤髪の女と、その妹。


 全身の血が、逆流した。


「……お頭?」

「静かにしろ」


 見間違えるものか。 アイツらだ。 ナナシはどこにいる?


「まだ、ダンジョンに潜ってやがった……」


 声が、震えた。 あんな目に遭わせたにも関わらず、ダンジョンを進んでやがる。


「お頭、あれって……まさか、あん時の」

「ああ。 あの二人だ」

「もう一人いるのは……お頭アイツ、エメラルドですぜ!」

「なんだと? ……なんでそんな奴があの女どもと一緒にイヤがる?」


 エメラルドーー奴はガランド探索隊の隊長のはずだが?


 息を切らしているように見えて、足取りに一切の乱れがない。 狂った冒険者が横から斬りかかったが、振り向きもせず、一撃で沈めた。


 ーー化け物だ。 奴は俺たちじゃ相手にならねぇ。


「今、飛びかかったところで、全員まとめて刻まれるのが目に見えてる」


 俺たちは酒も日も奪われて生きてきた。 あるのは憎しみだけだ。


 だがーー今じゃない。


「……お頭。 じゃあ、諦めるんですか」

「馬鹿を言うな」


 俺は、下へ降りていく三人の背中を見送った。


「奴らは、まだ下へ行く。 深く、深くな。 ……どうなると思う?」


 部下どもの顔に、じわりと笑いが広がった。


「傷だらけで、疲れ果てて、なあ。 その時を、待ってりゃいい」


 このダンジョンには武器も防具も落ちてやがる。


 ーー前回のこと、アイツらは覚えているよなぁ?


 服をズタズタにして、全裸にひん剥いて、床に転がしたよな?


 ーー何度でもやってやるよ? 俺たちの視界に入ったことを後悔させてやる。


「せいぜい、楽しませてくれよ? ……俺たちのオモチャ?」


 ーーさて、そのためには邪魔な緑髪の隊長には消えてもらわないとなぁ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。