↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/244

第24話 第三の選択肢

 「……やれやれ。 雑魚どもと、俺の実力の差を見せつけてやるか……」


ーー俺は、背負っていたバニラを兵士たちに放り投げた。


 兵士の一人が慌てて、それをキャッチする。


「キャ! なにをするんですか!」

「聖女様! ご無事で……グハァ」

「……まずは、一人。 あの世行き!」


 そして、俺がキャッチした奴を殺す。 見事なファインプレーだ。


「ナナシ……皆の者、かかれ!」


 号令一下、隊員どもが一斉に動いた。


 ーー速い。 門番どもとは練度が違う。 死角を潰し、槍の穂先が交互に俺を突いてくる。


「オラァ!」


 だが、今の俺は万全だ。 まったく当たらない。


 後方に回りこみ、急所を一撃。 死角? そんな物、関係ない。


「ぐあっ!?」

「怯むな! 回り込め!」


 ーーハ。 ハハ! そうだ、これだ。


 体が軽い。 傷は疼かない。 視界は冴え渡ってる。 これが本来の俺だ。 これならーー誰にも負けやしねえ!


「どうした忠犬ども! その程度かよ!」


 剣の腹で薙ぎ、拳で沈め、蹴りで吹き飛ばす。 一人、また一人と隊員が転がっていく。


 しかし、妙だなぁ? 数が減らねぇ。 チッ。 あの聖女、余計なことを。


 俺が沈めた奴を片っ端から、治してやがるな?


ーーだが、それは怪我だけの話だ。 体力は回復しないはずだ。


 俺はそれを哀れに思い一言、忠告することにした。


「まだやるか? 大人しく寝てりゃあ、痛い目は見ずに済むぜ?」

「……はあ、はあ……ここは、通さない……! 隊長の指示だ……」


 兵士たちはまだ立っていた。 槍は折れ、鎧はひしゃげ、膝は笑っている。 それでも俺の前から退かない。


「しつけえなぁ! なんでそこまでするんだよ!」

「……貴様は、俺たちと同じだからだ」


 男は、血の混じった唾を吐いて笑った。


「……実はな。 俺らは、孤児だったんだよ。 それを、エメラルド隊長が拾ってくれたんだ……」


ーーなんだ? 語り出したぞ? お前らの昔話なんて、興味ないっての!


「ニャン! エメラルドにそんな感動的な秘話が! ……ああ、ペンと紙がこの場にないのは、惜しいニャ……」


 バニラが、唸ってやがる。 ーー調子に乗りやがって。


「お前らの、昔話なんか興味ないんだよ! 語りたいなら、あの世で神にでも語るんだな〜」


 俺が踏み込んだ、その瞬間だった。


「みんな、足止めご苦労様……」

「……チッ。 もう来たのか」


 あの飄々とした声が、俺の耳から離れない。 憎らしい、憎らしい!


「た、隊長! エメラルド隊長!」

「やあ、みんな。 よく守ってくれたね。 さすが、僕の自慢の部下だ」


 第十層の入り口。 そこに、三つの人影が立っていた。


 エメラルド。 そして、その後ろにルビーとオパール。 三人とも返り血と埃まみれで、息を切らしている。 あの地獄の海を、本当に泳ぎ切ってきやがったのか。


「ナナシ! あんた、いい加減にしなさいよ!」

「バニラ無事?」


 姉妹どもが口々に喚く。 うるせえ、奴らだ。


 エメラルドは、部下たちを一瞥し、それからゆっくりと俺を見た。


 口元は、笑っている。 しかし目は、一切笑っていなかった。


「……さて、ナナシ。 随分と派手にやってくれたね」

「……チッ。 もう追いついてきやがったのか。 しぶとい奴だ」

「褒め言葉として受け取っておくよ。 ーーさあ、選ばせてあげる」


 エメラルドは、ゆらり、と得物を抜いた。


「大人しく縛につくか。 もう一度、僕にボコボコにされるか。 どっちがいい?」

「俺が選ぶのは、第三の選択肢だ」


 俺は、全力で第十一層の入り口へ、駆けて行ったのだったーー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。