第15話 キャスの正体
これは、死に戻り前の話だ。 俺が、キャスと生活してしばらく経った頃、キャスの教えの母が生き絶えようとしていた。
彼女の病気は原因不明。 医者からは完治不可能と呼ばれる未知の病で身体は衰えていた。 昔は村一番の腕前の大剣使いだったらしい。
「キャス⋯⋯いままで、ありがとう⋯⋯」
「お母様! 嫌よ! まだまだこれからじゃない。 死んだら負けだわ⋯⋯」
「ふ⋯ふ⋯これでやっとおまえを自由に⋯⋯」
「嫌よお母様! そんな自由はいらないわよ」
「⋯⋯キャス。 もう死んでる⋯⋯」
「なんで? ⋯⋯嘘よ! お母様は負けてないわ! 適当なこと言わないで」
キャスは駄々っ子のように、暴れ回った。 俺はそれを、必死に止めた。
ーーその時、服の中から、羽が見えた。
「⋯⋯! なんだこれ? 黒い物体?」
「あ⋯⋯ゆう君、見たんだ⋯⋯私の秘密を⋯⋯」
すると、彼女は突然家から、飛び出してしまった。
ーーだけど、俺はなんとなく、彼女の行方に心当たりがあった。 彼女と初めて会った廃墟の教会。 その奥に彼女がいた。
「やっぱりここにいたんだね、キャス」
「来ないで! 貴方、見たでしょ⋯⋯私の羽を!」
「⋯⋯どうしたんだよ? 落ち着いて⋯⋯」
「ゆう君を騙してたんだよ! 実は私、人間じゃないの。 本当の私は⋯⋯」
キャスの本当の正体はーー
「ウゥンお待たせ、ゆう君~ さあぅ! 殺ろうか!」
死に戻り前の思い出に浸っていると、彼女が戻って来た。
彼女の外見は先程とは異なり、頭のツノ背中に大きな羽。 そしてお尻に尻尾。 衣装は黒一色の露出の高い下着姿。
そう、彼女の正体はサキュバスだ。
ーーサキュバス。 魔物の一種である。
人間のみならず、生別違いの相手を魅力する姿をしている。
彼女たち種族は、自らの容姿に誇りを持ち、相手に自分の美しさを魅せつけるための下着を身に纏う。
武力の勝利ではなく、自分に溺れさせることを勝利としている種族である。
「ウゥ。 やっぱり快適だわ! ツノとか収納しておくのが面倒なのよね! ⋯⋯うん、別に誰か見ている訳じゃないし、これからは出したままにしておこうっと! お母様! 出しても問題ないように、採寸してくれてありがとう!」
俺は、キャスを見つめる。
「おや? さっそく、私の魅力にメロメロになった?」
キャスはそう言うと、自分の体を俺に向けてアピールするのであった。 薄布一枚を残してほぼ裸の彼女は、不敵に微笑む。
俺はこれから、彼女に勝たなくてはならない。 武力的の勝負ではなくて、精神的な勝負の始まりである。




