第14話 キャスの秘密 ーーキャス視点
夜、アイツが眠りに着いた後、私とお母様は向かい合って話しをする。
「ありがとうよ、キャス。 お陰で体の調子も復調したよ」
「よかった。 私、安心した!」
「⋯⋯それでねキャス。 アンタさえ良ければ、私の本当の家族に⋯⋯」
お母様と出会ってからの思い出が、私の頭の中を駆け巡る。 正直、喜びと迷いがある。 でも、私は自分で決めた、決断を口にした。
「お母様⋯⋯ごめんなさい。 それは出来ないよ⋯⋯」
私は頭を下げて、お母様に言う。
「私、旅に出ますね。 そして、都会で暮らしたい。 ⋯⋯あ、コイツは連れて行くから安心してね」
「⋯⋯そうかい。 まあ、私にはお前を止める権利はないわね。 私の看病をするために、今まで引き留めて悪かったね。 ⋯⋯この時期は寒いからね、気をつけてるんだよ」
「お母様。 貴方がくれた、この服と大剣。 そして、一緒に暮らした思い出を、私は大事にするね」
私は落ち込んでる、お母様に微笑みかける。
ありがとう。 お陰で人の心が知れたよーー
思い出すのは、お母様と初めて会った時。 私は、ひょっこり彼女の前に現れた。
「こんにちは~」
「⋯⋯貴方は⋯⋯」
「なんだか、辛そうだね? 私に任せて! 看病してあげる~」
「おやおや、いい子だね。 じゃあ甘えようかしら? こっちにおいで⋯⋯」
それから、私はお母様の世話をすることと引き換えに、お母様は私のためにいろいろしてくれた。 礼儀や作法から、剣の扱い方まで。 私はこの日々を忘れないだろう。 本当にありがとうお母様。
久しぶりの景色が新鮮に思える。 いつもは遠くまでいけなかった道を、私は今歩いている。 自由になれた気持ちが、私を笑顔にしてーー
「おい! キャス。 待ってくれよ!」
ハア、ゆう君がいなければ、もっといいんだけどなぁ? いなければ背中の翼を広げてどこへでも飛んで行くのに! なんでコイツは、私のことが好きなの? 今の私は普通の人間と同じはずーー だから、色気もないはずなんだけどな~
コイツとこれからも一緒なのかなぁ? でも、こんな有罪変人と居たくないな~
そうだ! 潰しちゃえ! ここあたりは、誰もいないし大丈夫だね!
「ねえ。 ゆう君!」
「うん? どうしたんだ、キャス?」
「邪魔だから、死んでくれない?」
私は大剣を引き抜く。 相手は雑魚、クロンよりも弱い。
「⋯⋯⋯⋯」
「あれれ? ゆう君、静かになっちゃった! 私のこと嫌いになった? それとも、嘘だったのかなぁ?」
コイツになら、本気を出さなくても勝てる。 私は、大剣を構えて威嚇する。
「大人しくしててね? じゃないとさ~ 痛いのが長く続いちゃうよ~」
ーー粉砕。 道端の瓦礫が舞い上がる。 ゆう君はいない。
「あれれ? お姉ちゃんにビビちゃった? そうなの? じゃあ⋯⋯たっぷり教育してあげるね」
私の本能が渦巻く。 体が熱くなって来た。 やはり、生物の宿命からは、逃れられないらしいね。
「ハア、ウゥン。 どこに隠れたのかなぁ? ⋯⋯お姉ちゃん、体が熱ってうずうずしてきちゃたよ! 早く出て来ないと、お仕置きが大変になちゃうぞ~」
舌舐めずりをしながら、辺りを探す。 ゆう君みーつけた!
「そこにいたんだね~ ゆう君! もう待ち切れないよ? ハアア~ 私を満たして~」
「⋯⋯⋯」
うん? さっきからずっと、私の顔を見て、どうしたのかな? 私に言いたいことがあるのかな?
「キャス。 俺は負けない⋯⋯」
「⋯⋯へえ? 面白いじゃんガキの癖に⋯⋯」
雑魚が! 私に勝てると思うなよ! ああ、もう焦れたい。 疼きが止まらない。 なんとかしないとーー ズボンから尻尾が出てきそう。
「もう、限界そうだな、キャス」
「うふふ、限界? ⋯⋯ゆう君。 あぅん、なんのことかしら~」
「俺はお前のことをよく知っている。 ⋯⋯お前の本当の正体もな」
彼が私を指差して笑う。 あれれ? そうだったんだ。だったら抑えている必要もないね。 私は大剣を放り投げ、服を捲る。 そして本能の思うままにーー
「アハ。 じゃあ、見せてあげる。 私の本当の姿を⋯⋯」
「あ、ちょっと待って! 脱衣シーンは恥ずかしいからやめて!」
「なに言ってるの? ⋯⋯うふふ。 これから私たちの刺激的な時間が、始まるんだけど? ウゥン⋯⋯楽しみだわ、私の魅力に、ゆう君が溺れてしまうのが⋯⋯」
「ええ? その姿の方が好みなんだけど」
「なんですって! ⋯⋯許せない。 私を侮辱しているわね! こんな人間の少女の見た目のどこがいいのよ! そこで正座して待ってなさい!」
許せない。 私をコケにしたわね。 今に覚えてなさい!
私はいそいそと、物陰に向かうのであったーー




