第13話 憂さ晴らし ーーキャス視点
第13話 憂さ晴らし ーーキャス視点
私は森でストレス発散のために、魔物を斬り倒していた。
舞い散る鮮血が顔に当たる。
少しして、やっと落ち着いてきた。 冷静になれ私。 そうよね。 今から、あの子を教育すれば、いい話じゃない。 殺す程のことではないわ。
私は休憩するために、森の開けた場所へ向かった。 しかしそこには、昨日の黒猫ーークロンがいた。
「ニャー。 おなご、待っておったぞ」
「貴方はクロン。 ⋯⋯それってどう言う意味?」
「シャー。 俺様はおなごに決闘を申し込む!」
「へえ」
私と戦うんだ! いいね~
「⋯⋯それで? 私が勝ったらいいことあるの?」
「俺様の毛皮は丈夫だぞおなごにもお似合いだニャー⋯⋯ 魔王軍暗殺部隊クロン 参る!」
「⋯⋯そう。 だったら丸ごと剥いであげる! 私はキャス! 相手するわ!」
大剣を構える。 奴の武器は霊剣?
「⋯⋯暗殺専門らしいわね。 面白い~」
「ふむ、褒め言葉としていただいておくニャ」
私は敢えて真っ向から突撃して、真っ直ぐに大剣を振りかざす。
しかし、霊剣に受け止められてしまった。 後退して様子を伺う。
「ニャン。 素晴らしい腕力。 危うく吹き飛ぶ所だっ⋯⋯」
「へえ? じゃあ次でぶっと飛ばしてあげる!」
私は、もう一度大剣を叩き込む。
「ニャふふ、無駄だ。 俺様は既に見切って⋯⋯ニャンじゃと!」
みるみるウチに腕が下がっていくクロン。 慌てて後退するが、尻餅をついてしまった。
その彼の前方には、大きなクレーターが出来ていた。
「あれ? まだ潰れないの~ 黒猫ちゃん強いですねー」
「ニャンテ素晴らしい! 俺様はようやくライバルに巡りあったニャー」
「うん? 遺言はそれ? じゃあ、そのまま成仏してね~」
私がクロンに向かって一閃。 増えるクレーター。 しかし、奴はいなかった。
「キャスよ。 おなごの大剣は非常に強力。 ⋯⋯しかしそれは、当たればの話し。 かわすことは容易い」
背後から声がした私は、大剣ごと振り向く。 その直後、背中にネコの肉球が触れる。
しまった。 私は前に転げ回る。 しかし、服は切り裂かれていなかった。
「クロン。 なぜ切らなかったの? この私をいたぶるつもりかしら?」
「ニャン。 キャスよ誤解しておるな。 俺様は触れておらぬぞ? ⋯⋯おおかた、そなたの予知能力が発芽したのであろう⋯⋯やはり、俺様の見立てに間違いはなかったニャ」
予知能力ーー数秒先の未来を感知する力。 私にそれが出来たと言うの?
「惜しかったのニャ。 おなごの衣にダメージを与えられると、思ったんじゃがニャー。 ⋯⋯おなごは肌を露出させることが弱点であろう?」
クロンが、肉球を揉みながら言う。 困るわね、私の衣服にそんなことされたら。
「クロン。 ごめんなさい、貴方をみくびってたみたい⋯⋯」
私は、シャツに手を伸ばす。
「ニャ! シャアー⋯⋯なんのつもりニャ?」
クロンは怪訝な態度をとりながらも、手を出さない。 武士道って奴かしら?
ーーでも、そんな態度はいつまでもつかな? すぐに本能が私を求めて来るはず。
「ニャンだと⋯⋯キャスこれは! ゴク! 只者ではないと思ってはいたが⋯⋯」
私は下着姿になり、服を近くの腰掛けに置く。 準備万端だ。
「⋯⋯ありがとう。 待っていてくれて~ じゃあ安心して、消滅してね⋯⋯」
「⋯⋯ニャ。 キャス、これは⋯⋯ 衣服の下にそんな秘密があったとは! 完全に完敗ニャ。 では、よろしく頼むぞ⋯⋯ありがとう⋯⋯キャスよ⋯⋯」
ふふふ。 いいオス。 今楽にしてあげるね~
私はクロンを抱きしめた。 そしてーー
「ただいま!」
「おかえりなさい、キャス。 ⋯⋯その毛皮は?」
「ああ、これは戦利品! 親切なネコさんから貰ったの~」
「⋯⋯そうかい。 キャスや。 お前に話しがあるんだが⋯⋯」
「キャス! 俺を置いてどこに行ってたんだよ!」
「⋯⋯ちょっと、憂さ晴らしかなぁ?」
「憂さ晴らしだと! ⋯⋯どうしたんだ! 俺に話せ」
「⋯⋯ハア。 コイツやっぱり無理」




