第58話 先遣隊結成?
しばらくの時間が経ったが、パーティ決めは難解を極めていた。
最初、あんなにアピールしていたキャスは、今では馬車に引きこもっていた。 それを、ミリィとラムが元気づけているようだ。
私としてはルミス様と組みたい。 けれど、この集団ではルミス様との関係は隠しているのだから、自分から言い出すわけにはいかない。
ーー困ったわね。 そんな時。
「ええい。 焦ったいでござる。 拙者は行くでござる!」
影丸与一が先走ってダンジョンへ向かおうとする。
まずい。 彼に先を越されては危険だ。 得体の知れない男を、誰の目も届かない場所に放つなんて。 私は声をあげる。
「私も行くわよ! こんなダンジョン、楽勝だって見せつけてあげるから!」
「僕モ僕モ。 早く中を覗きたイ」
ルミス様も同じことを考えたのか、潜るつもりのようだ。 ーーよかった。 これで自然に同行できる。
「は、ははは。 その心意気や、よし!」
そう思っていると、マルクが笑い出した。 ついに狂ったのかしら?
「若者ども、いいだろう。 ついてこい、行くぞ!」
そう言うと、マルクは歩き出した。 見た目だけはカッコいいけどーー
「老害ジジイがいきがっておるのじゃ……」
ミート学園長はその様子を冷めた目で見ていた。
「不服でござるが、介護するでござる……」
影丸与一は、渋い顔をしながらついていく。 どうやら、一人で回りたかったらしい。
ーー絶対に単独行動なんてさせない。
私とルミス様もそれに同行する。 だが、ここで予想外の事態が起きた。
「……」(お宝〜 お宝〜 黄金鉱山〜 レッツゴー!)
「ほう? フレイアよ、お前も来るのか?」
「……はい」
「まあいいだろう! 先遣隊、完成だ!」
そう言うと、マルクは走り出したのだった。
ーーちょっと待って。 どうしてフレイアが?
彼女は、ルーブとヨニーと一緒に行動するはず? それが単身で?
一体、なにを企んでいるのよ?
彼女は何も答えず、ただ静かに私たちの後ろについてくる。 いつもの余裕の笑みは消え、その目はまっすぐにダンジョンの入り口だけを見つめていた。
ーー嫌な予感がする。 彼女がわざわざ危険な先遣隊に加わる理由。 それはきっと、このダンジョンの中に「目的」があるからだ。
彼女のオーラが見えそうだ。 なにをするつもりなのよ!
「アゼッタ、顔が怖いぞ?」
「……なんでもありません」
考えていても仕方ない。 そうよ、むしろ好都合よ。 この遠征で尻尾を掴むと決めたんだから、監視するなら近くにいた方がいい。
ダンジョンの入り口は、人だかりができている。 血の臭いが漂っている。
ーー死のダンジョン。 その名に恥じない禍々しさだ。
「ふむ。 やけに活気があるでござるな?」
「あら? 腑抜けているの! だったら、戻れば!」
ーーその時だった。
「退かぬか! 小童どもめ!」
「なんだジジイ! やんのか?」
老害ジジイこと、マルクが前方の冒険者集団に喧嘩を売っていた。
ーーなにやってるの? この人?




