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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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外話 アゼッタの犯人探し 10

 昼下がりの学園の裏庭。 目当ての姿は、すぐに見つかった。 


 金髪のエルフーーフレイアだ! 貴方のせいで私の心はズタボロなのよ! 


 ルミス様との夢物語なんて、叶うはずないのにーー


 しかし、彼女を目の前にして思わず足が止まった。


 木漏れ日の下、フレイアは静かに佇んでいた。 


 その指先には小鳥が一羽、ちょこんと止まっている。

(あ〜あ。 お腹空いたわね。 しばらく、草しか食べてないわ!)


 彼女はその鳥を慈しむように見下ろしていた。 まるで一枚の神話だ。


 やがて彼女は流れるような所作で弓を取り、遥か遠くの的へ矢を放った。 


 風を切る音。 矢は吸い込まれるように的の中心を射抜いた。 小鳥は驚きもせず、彼女の肩へ移っただけだった。

(よし! 獲物ゲッツー! 今日は焼肉だわ〜)


 ーーこれが、エルフ! 私はいよいよ犯人は彼女だと確信した。


「フレイア。少し、いいかしら」

「……」

(え? アゼッタ! ちょっと! 早く獲物を取らないと横取りされるのに〜)


 私が歩み寄ると、彼女はゆっくりとこちらを向いた。 翡翠色の瞳が、私を静かに映す。


「単刀直入に聞くわ。あの水晶を壊したのは、貴方ね?」

「……」

(あ! たかってる! ちょっと駄目よ! それは私の食料なのよ!)


 返事はない。 エルフという種族は、人間とは口を聞かない種族と聞く。 


 ーー正攻法は悪手だったようね。 でも、もう一押しだけでも!


「黙っていてもわかっているのよ。 証拠が出るのも時間の問題なんだから、今のうちに白状した方が身のためよ?」

「……」

(あ〜あ。 全部喰われちゃった! こうなったらこの小鳥を……)


 フレイアは何も言わず、ただ小鳥を睨んでいた。 小鳥はどっかへ飛んで行った。


「ちょ、ちょっと。聞いているの?」

「……」

(そんな! 小鳥ちゃんいかないで! 私の糧になってよ〜)


 彼女は視線を私から外し、遠くの森へと向けた。 風がその金髪をさらりと梳く。その横顔は超然としていて、まるで「人間ごときと交わす言葉は持たない」と言わんばかりだった。


 こ、これがエルフ! ーーって、感心している場合ではないわ!


「あのねえ! 貴方、昨日は酒場で散々喋っていたでしょう! 『おいしいわ、ルーブ!』とか言って草を食べていたじゃない! 私、見ていたのよ!」

「……っ」

(……そういえば、今アゼッタと会話中だったわ! 私としたことが……お腹が空くと碌なことがないわね?)


 ぴくり、と。フレイアの肩が、ほんのわずかに揺れた。


 ーー動揺したわね? 今、確かに動揺したわよね!?


「やっぱり聞こえているんじゃない!」

「……なんのことかしら?」

(ごめんなさい! アゼッタちゃん! 最初からお願いします!)


 フレイアが私を睨みつけてくる。 なに? この威圧感ーー


 まさか私は、相手にしてはいけない存在と敵対しているの?


「くっ……覚えてなさいよ!」

「え? ちょ……」


 結局、私は今日も捨て台詞だけを残して、背中を見せることになった。


 ーー本当に、なんなのよ、あのエルフは!


 こうなったら、私に残された方法は一つだけ。 たくさんの目撃者の目の前で、あの女が力を使う時よ!


 ーーその時まで、せいぜい! 私のことを侮っているといいわ!


 雨が降ってきた。 さっきまでは全然降ってなかったのに。


『……大雨だ』

「ルーブの発言……本当だったんだ」

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