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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第27話 ガランド探索部隊

 第四層に突入した私たちを待っていたのは、拍子抜けするほどの賑わいだった。


 それもそうだろう。 第一層から向かう冒険者のほとんどは、ここまで降りる。


 第一層が、ダンジョンの入り口。 第二層が、冒険者や難民の居住区。


 第三層が、新人冒険者の稼ぎ場。


 そして、この第四層からが、冒険者の修行場になっている。


 そのため、見渡す限りあちこちに冒険者たちの姿があった。


 特に、第四層は近くに門番がいるため、安全だからだ。


「……すごい人ね」

「……うん」

「チッ」


 ナナシが、すれ違う人だかりを、鬱陶しそうに見ている。


 灯りがいくつも揺れ、武具の擦れる音や、仲間を呼ぶ声が洞窟の壁に反響していた。 


 「魔物……」

 「もう、討伐されたね……」


 お陰で、私たちはほとんど魔物と戦うことなく、層を下りていくことができた。 先を行く冒険者たちが、道中の魔物を片っ端から狩ってくれているからだ。


まだ、腕試しすらできない私たち。 このまま降りても大丈夫かな?


「楽でいいけど……なんだか、拍子抜けね」

「うん。 連携がうまくできるか心配……」

「そうよね……」


 ヒラヒラのワンピース姿の姉さんが、ナナシを見ながら苦笑する。


 ーー私も同じ思いだよ、姉さん。 


 私たちは順調に潜っていった。 第五層、第六層、第七層、そして第八層。


 下に降りるごとに、冒険者の数は少しずつ減っていく。 しかし、坑道も狭まるので、関係なかった。 しかも、ここまで降りてくるのは強者の冒険者パーティ。


「……ナナシ。 どこまで降りるの?」

「……はあ? 一番下に決まっているだろ? 文句あるなら帰れ!」

「なんですって! 帰る訳ないでしょう!」


 先頭を行くナナシは、相変わらずぶっきらぼうだ。 


 第九層へ。 ここまで来ると、流石に人影はまばらだった。 


 ーーなんだろう? 下から、嫌な気配がする。


 私の勘は当たった。 その第九層で、私たちは彼らと出会った。


「おい! そこの君たち! 冒険者か!」

「はい、そうですが……」


 突然、私たちは声をかけられた。


 振り返ると、揃いの装備を身につけた一団が、こちらへ駆け寄ってくるところだった。 全員が、同じ紋章の刻まれた胸当てを着けている。 規律の取れた、明らかに統率された集団だった。


「あなたたちは……まさか噂の?」


 姉さんが、目を輝かせながら尋ねる。


「う、うむ。 我々は、ガランド探索部隊だ」

「やっぱり! キター!」


 先頭の男が、名乗りを上げた。 姉さんが大声で喜ぶ。


 ガランド探索部隊。 その名は、私も聞いたことがあった。


 旧王国ガランドーーかつて、この地方を治めていた王家。 今は、王国制そのものが崩壊している。 けれど、その名残として、このダンジョンの調査を担う公式組織が、今もこうして残っているのだ。


「君たち、これから下に向かうのか?」

「ええ。 そのつもりですが……」

「ならば、忠告しておく。 今、第十層が危険な状態だ」


 男の表情が、険しくなる。


「我々の拠点は、第十層にある。 だが、見たこともない魔物が現れたのだ。 あれは恐らく、特殊魔物」

「特殊魔物……」


 姉さんが、眉をひそめる。


「ああ。 通常の魔物とは、まるで違う。 大きさも力も桁外れだ。 我々の手では、抑えきれん!」


 男は、悔しそうに拳を握りしめた。


「今、ギルドへ救助要請を出しに向かう最中だ。 君たちも悪いことは言わん。 今日のところは引き返した方が……」


 男が、そこまで言いかけた時だった。


 私の隣にいたはずのナナシが、地を蹴った。


 気づいた時には、もう遅かった。 ナナシは私たちを置いて、たった一人で下層へと駆け出していた。


「ナナシ!」


 姉さんが、叫ぶ。


 けれど、その背中は、振り返ることもなく。 暗い階段の奥へと、瞬く間に消えていった。


「お、おい、あの男、何を考えているんだ!」


 ガランド探索部隊の男が、呆然と立ち尽くす。


 私と姉さんは、顔を見合わせた。


「……行きましょう、姉さん」

「ええ。 馬鹿を、放ってはおけないわ!」


 私たちは、迷うことなくナナシの背中を追って、駆け出した。


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