第25話 服屋で買い物
私たちは、三人揃って第四層へ向かうことに決めた。
そのための準備を整えようと、詰所を出ようとした私たち。
街中に出た私たちに、通行人たちの視線が刺さってくる。
「なんだ。 あのボロボロやろう……」
「……あの女の子たち。 浮浪者と、よく歩けるわね」
「お母さん、あのお兄さん、汚くてボロボロだね!」
「見ては、いけません! はしたない!」
私たちは、ナナシの服が気になった。 彼の服は、浮浪者と言われるだけあって、擦り切れて、汚れている。
ーーそして、そのボロボロの布を強引に繋ぎ合わせている状態だ。
「……ナナシ。その服、ボロボロすぎるよ?」
「……うるせぇ。これでいいんだよ」
「よくないわよ!」
姉さんが、声を上げた。
「一緒に冒険するんだもの。 せめて、まともな布を羽織ってよ!」
「……はあ? そんなの、どうせすぐに汚れるから、一緒だろ?」
ナナシは、面倒くさそうに顔をしかめた。
「それに……金がもったいねぇ」
「お金なら、私たちが出すから! 貴方の倒した、魔石がたくさんあるのよ!」
「……っ、いらねぇよ」
頑固なナナシ。私たちは、顔を見合わせた。
「……ナナシ。 アンタのためじゃない。 私たちのためよ!」
「だったら、俺は抜けるぞ!」
意地の張り合いが続く中、私はポツリと一言呟いた。
「変態……」
「なん、だと……」
私の一言が図星だったのか、ナナシはしばらくの沈黙の後、こう言った。
「……勝手にしろ。 ただし、派手なのは着ねぇからな」
「じゃあ、服屋にいくわよ!」
「おい! 引っ張るなよ!」
姉さんが、嬉しそうにナナシを引っ張っていく。
私は、ナナシの服を、改めて凝視する。
ボロボロで、薄汚れている。 ただの浮浪者の服だ。
「……あれ?」
よく見ると、それは学生服だった。 まあ、こんなに薄汚れていたら、気づかないよね。
ーーどうして、ナナシが学生服を? どこかの学生だったのかな?
疑問が、頭をよぎる。 けれど、ナナシの鋭い目に気づいて、問いかけるのをやめた。 なんだか、深い事情があるみたいだ。
「……何みてんだ」
「な、なんでもない!」
慌てて、目をそらす私。 ナナシは姉さんの力で、引きずられていった。
私たちは、この街の大衆服屋に到着した。 ここには、一般の服が置いてある。
「おい。 ここは、冒険の服屋じゃねぇぞ! なんでここなんだ!」
「……それは。 私たちだって、オシャレしたいからよ」
姉さんは、モジモジしながら答えた。
「ね? 貴方もそうでしょ! オパール!」
「私? 私はあんまり……」
私は、そんなのに関心がないと言おうとした時、姉さんは服を当てがう。
それは、ヒラヒラしたスカートだった。
「これなんてどう? 貴方にお似合いよ」
「姉さん。 こんなの私には、似合わないよ……」
「そんなことないわよ! 絶対似合うから、着てみてよ!」
似合わない服を渡された私。 でも、このままでは癪だ。 私も、姉さんが絶対に着ない服を渡した。
「姉さん……じゃあ。 これ着て!」
「え? なにこれ? ただの下着かしら?」
ただの下着って。 そこまで、露出度は高くないよ、姉さんーー




