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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第22話 二人の冒険者の覚悟

 数日が経った。 あれから、私たちはナナシを探していた。


 私たちを助けてくれたお礼を、改めて言いたかったから。 あの時は、体も心もボロボロでまともにお礼も言えなかった。 


 だから、「ありがとう」の一言だけじゃ、全然足りないよ。


 そしてもう一つの理由。 これが、姉さんを動かしている本当の理由だ。


 ギルド運営から、私たちのもとに連絡が来た。 事件解決の報酬を、ナナシが辞退したというのだ。 その上、彼は「報酬はあの姉妹に渡してくれ」と言い残していた。 おかげで私たちは、しばらく生活に困らないだけのお金を手に入れた。


 ーーそれが、姉さんの納得がいかないようだった。


「……ナナシ。 ヌイセマカを退治したのは、彼なのに」

「お姉ちゃん……」

「私たちは、ただ捕まって、裸でボロボロにされただけ。 ……なのに、お金は全部こっち? ……そんなの、絶対に違うわ!」

「うん。 私もそう思うよ……」


 姉さんの手を握った。 ーーわかるよ、お姉ちゃん。


 私たちは、あの人に、借りを返したいんだ。 お金のことだけじゃない。 あの暗いダンジョンの底で、絶望の中に現れてくれたナナシに。


 でも、ナナシは麓のどこを探してもいなかった。


「……いないね、お姉ちゃん」

「ええ。 ……ダンジョンの中かしら」


 姉さんは、ダンジョンの入り口を見つめていた。


 あの日、私たちが地獄を見た場所。 心も体もズタボロにされた場所。


「……行くの? お姉ちゃん……」

「ええ。 ……オパールは怖い?」

「……うん。 怖いよ」


 私は、正直に答えた。 あの暗い洞窟。 男たちの下卑た笑い声。 首筋に当てられたナイフ。 ズタズタにされた痛み。 思い出すだけで、足がすくむ。


「……でも、行く。 お姉ちゃんと一緒なら、私は大丈夫だよ」

「……オパール」


 姉さんが、私を抱きしめる。


「ありがとう。 ……私が、絶対に守るからね!」

「それは、私も同じだよ、姉さん……」

「……?! ……ふふ。 そっか、そうだよね……」


 私たちは、意を決して、ダンジョンへと足を踏み入れた。


 第三層。


 いつもの、見慣れた階層。 でも、今日の姉さんは、いつもと違った。


「……はあっ!」


 ザシュッ、と。


 姉さんの剣が、襲いかかってきた魔物を一刀両断にした。


 いつもより、ずっと鋭い動き。 いつもより、ずっと容赦のない一撃。


 ーーまるで、何かに八つ当たりをするように。


「お姉ちゃん……」

「次。 来るわよ、オパール!」

「……っ、うん!」


 私も、杖を構えた。


「――炎よ!」


 ボッ、と。


 私の杖の先から、火球が飛び出した。 茂みから飛び出してきた狼型の魔物を、まとめて焼き払う。


「ギャゥッ……!」


 魔物が、灰になって崩れ落ちる。 


 最近、調子がいい。 あの日からずっと、何かを振り払うように、修行を続けてきたからかもしれない。


 次々と現れる魔物を、姉さんが斬り私が焼く。 魔石がドンドン貯まっていく。


「おい。 あの二人組、強くね?」

「明らかに、一線を越えているだろ!」

「たった二人なのにねぇ?」


 同じく、第三層に潜っている冒険者たちが、そんな私たちを見て驚いていた。


 私たちは今、戦うことで、あの日の記憶を振り切ろうとしているんだ。


 ーーもう、私たちはとある覚悟ができていた。

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