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死に戻りクズ勇者は勝手に生きたい〜こんな奴に勇者は任せておけない!  作者: Masa(文章力あげたい)
黄金の鉱山編

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第17話 ナナシとの邂逅

 月光草を集める私たち。 随分と溜まっている。


 「これも、魔石だわ! なんでこんなに、たくさん落ちているのかしら?」

 「そうだね。 おかしい……」


 魔物を倒したのに、魔石を放置して去っている。 普通のダンジョン探索者なら、ありえない話だ。 


 ーーまさか、ボンバさんを殺した奴の仕業? 愉快犯って訳?


 大量の魔石を手に入れた私たち。 気付けば、第四層の入り口まで来ていた。


 第四層へと続く、下り階段。 その手前には、門番の詰所がある。


 ーー第四層からは、単独行動禁止。 掲示板に書いてあった通りだ。


 ギルドに雇われた門番が、ここに常駐していて、単身冒険者を通さないようにしている。 


「……姉ちゃん。 ここでボンバさんのこと伝えようよ」

「……そうね」


 ギルドまで戻ってから報告するよりも、ここの門番に伝えた方が早い。


 私たちは、門番の詰所に向かった。 しかし、なにやら騒ぎが起こっている。


「ここは通行止めだ……」

「うるさい! 俺は行くんだ!」


 門番たちが一人の男を押し止めている。 浮浪者のようなボロボロの格好。


 腰には二振りの剣が差してある。 その男は、ぎらぎらとした目をしていた。


「単独行動は禁止だ。 パーティーを組んでこい」

「組む奴なんていねぇんだよ! 俺は一人で行く!」


 ーーああ、なるほど。 単身で第四層に降りようとして、足止めを喰らっているわけか。


「……関わらない方がいいわね」

「うん。 でも、報告はしないと……」

「……そうだね」


 私たちは、門番たちに近づいた。 


「あの、すみません……」

「……ご用件は?」

「いえ。 ……あの、報告があって」


 姉さんが、声を落として伝えた。


 西側の通路の奥に、ボンバの遺体があること。 所持してたはずのアイテムが抜き取られていたことをーー


 門番の顔が、みるみる強張っていく。


「……またか。 許せネェ!」

「……」


 門番は、しばらく口を閉ざしていた。 それから、深く息を吐いた。


「……分かった。 知らせてくれて、ありがとな、嬢ちゃんたち」

「……はい」

「……」


 姉さんが、深く頭を下げた。 私もそれを真似する。


「気を付けて帰れよ! ここは危険だ……」

「はい」


 私たちは、詰所を後にした。


 ーー帰ろう。 今日は、これで十分だ。


 すると、後ろから足音が聞こえてきた。 一人分の、苛立ったような足音。 振り返ると、さっき門番と揉めていた男だった。 彼も、追い返されて、帰る途中らしい。


 「ギルドの犬どもめ! ……いっそのこと、やるか?」

 

 その男は、剣を振りかざして、門番に突撃しようとしていた。


 その時、姉さんが、その男の前に出た。 


「ちょっと、姉ちゃん!?」

「ねぇ、君!」

「……」


 姉さんが、彼に声をかけた。


 ーーああ、もう。 姉さん! なにやってるの!


 男のぎらぎらとした目が、姉さんを捉えた。


「……俺の邪魔をするのか? 女?」

「女じゃなくて、ルビーよ! えっと……名前、聞いてもいい?」


 男は、しばらく姉さんを見つめていた。 それから、低い声で答えた。


「……ナナシ」

「ナナシ……さん?」

「ああ。 名無しだからナナシだ」


 ーー名無しの、ナナシ。 本当の名前を知らない、浮浪者のようだ。


「貴方でしょ! 魔石を放置して、ここまで来たの!」

「……そうだが? そんなものに興味がなかったからな……」

「……ねぇ? 貴方はどうして、このダンジョンに潜っているの?」


姉さんの問いかけに、ナナシは答えた。


「このダンジョンの最深部には、なんでも願いを叶える遺物がある。 ……俺はそれで、願いを叶えるんだ!」

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