表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2巻4/10発売!】転生のらねこ薬師さんのひみつのレシピ ~天才パパとしあわせカフェ、開店にゃ!~  作者: まえばる蒔乃
第八章・初めまして、自然派パパとママ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/86

アリスちゃんに会いたいにゃ

 捕まってからずっと、私は一人で部屋から出してもらえなかった。

 出ていいのはトイレやお風呂といったときと、一日一度、両親と一緒の昼食時だけ。


 ずっと侍女のお姉さんたちがそばにいて、お腹がすいたとめそめそすると温かなスープを与えてくれた。私は前世テレビで見た断食道場を思い出す。あれは好き好んで断食する人たちだけど、私は子供で、別に断食なんてしたくない。辛い。その上食べる食べ物がアレなのだ。


 翌日の昼食時、私と両親の席は少し近くなっていた。

 最初は本当に穢れだと思われてたのだろう。


 げっそりした私がやってきたのを見てお母さまは困惑の顔を見せた。


「恐ろしいわ……外の『穢れ』の解毒でこんなにやつれてしまうなんて」

「これはお腹空いてるだけにゃ。『穢れ』とか毒とかじゃなくて……」


 私の言葉に、お母さまは手をシュッシュッと動かす祈りを捧げる。ひどい。


 私の表情に気付いたお父さまが渋い顔で補足した。


「ミリアーシュ……お前の母は外を知らぬ。ニンゲンの食事に慣れると三食食べないと空腹になることは理屈として知っていても理解できないのだ」

「まあ。空腹と『穢れ』の違いくらいわかりましてよ?」


 お母さまは少し異議を唱えたいらしく、尻尾をぴしっと揺らす。

 相変わらず味のない食事をしながら私は思った。


(少なくとも、二人は仲がいいんだな)


 それは私にとって数少ない救いだった。ただでさえ捨て子だったのに、愛のない関係から生まれたのならどうしようもない。


(でも愛し合ってるなら、どうして私を捨てたんだろう……?)


 考えはじめると、くらっと意識が遠のく感じがする。


(だめにゃ。考えてたらカロリー使っちゃう。今はとにかく生きるのが先にゃ)


 私は厳しい顔をしてこちらを見ながら食事をするお母さまを見た。


「お母さま、わたしアリスちゃんと会ったら一発で元気になるにゃ。『穢れ』もふっとぶにゃ。会わせて」

「だめよ」


 ぴしゃりとお母さまは言う。


「ニンゲンと会うなんて、『穢れ』が抜けなくなるでしょう。元気になりたかったら、『穢れ』を早く抜くことを考えなさい」

「びえ……」


 昼食は結局それ以上の会話が出来ず、アリスちゃんと会うことは失敗に終わった。

 部屋に戻って、私はもう一度叫んだ。


「負けないにゃ! 頑張るにゃ!」


 そして私は軟禁中、部屋の中をあれこれ探検したりアリスちゃん救出のヒントがないか探した。

 しかしカーテンやリネンの刺繍がとても綺麗なことと、窓から吹き抜ける風が心地よいことばかりが分かって、それ以上の成果はまったくない。


「飽きてきたにゃ……」


 ちらと部屋の隅をみると、侍女のお姉さんがじっとこちらを見ている。

 このお姉さんたちとおしゃべりしてみようか、そう思ったとき。部屋にお父さまが訪れた。


「お父さま! アリスちゃんに会わせて!」

「挨拶より先にそれか」


 父は苦い顔をする。


「彼女には会わせられない。今会えば再びお前が『穢れる』と言っただろう」

「じゃあ会わなくていいから、すぐに帰してあげてにゃ」

「お前の『穢れ』が抜けて、聖猫族として落ち着いたら解放する。それまで人質だ」

「そんな可哀想なことしないで。もう向こうの親御さんも生きた心地してないですよ。お父さまも気持ちは分かるでしょ?」


 情に訴えたつもりだった。しかし父は頑なさを増した顔で首を横に振る。


「聞き分けてくれ。お前はいずれ次期族長もしくは巫女となる娘だ。お前に『穢れ』があっては、集落に受け入れられない」

「じゃあ『穢れ』てる私も、アリスちゃんと一緒に追い出してにゃ!」


 父はそれ以上何も言わず、部屋を去って行った。


「む、むう……」


 また失敗。私はなんだか悲しくなってしまった。

 私を捨てたり、取り返したり、アリスちゃんを人質に取ったり、両親含む聖猫族の行動がとても冷たく感じてしまう。


「……温かな家族に、わたしは縁がないのかな」


 ぽつりと呟く私。

 族長に失礼な独り言を言ったのに、侍女のお姉さんはその言葉をとがめることすらしなかった。

 私はただただ、道具として軟禁されている気分だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

続刊情報のお知らせ

いつもお世話になっております、まえばる蒔乃です!
いつも応援ありがとうございます。

転生のらねこ薬師さんのひみつのレシピ2 ~天才パパとしあわせカフェ、開店にゃ!~ 表紙

2026年4月10日発売予定です!

作品情報

転生のらねこ薬師さんのひみつのレシピ2 ~天才パパとしあわせカフェ、開店にゃ!~
著者:まえばる蒔乃
イラスト:п猫R

発売情報

発売日:2026年4月10日(木)
出版社:ドリコムメディア
レーベル:DREノベルス
定価:1,650円(本体1,500円+税)

ISBN:978-4-434-37608-5


「パパとママは、どうしてわたしを手放したんだろう」
魔術師パパと一緒に『ねこねこカフェ』を営む聖猫族のミルシェット。ひょんなことからダンジョン街で屋台を出すことに。そんな中、お客から「他に聖猫族を見た」という情報が。自分を捨てた実の親が見つかるかもしれない......猫耳幼女×魔術師パパの幸せカフェストーリー、第2弾!


続刊をお届けできることを嬉しく思います。

ぜひ書店や電子書籍ストアでチェックしてみてくださいね!

発売日:2026年4月10日(木)
みなさまどうぞよろしくお願いいたします!


1巻もあわせてよろしくお願いします!

転生のらねこ薬師さんのひみつのレシピ ~天才パパとしあわせカフェ、開店にゃ!~ 表紙

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ