ポーションなしの勝負飯!にゃ!
屋台のアイデアは、私が前世出張で博多に行ったときに食べた屋台だ。
屋台街の裏が風俗街で、男性陣が接待のためににっこにこでそっちに向かっていったから、私は屋台で中洲のキャバのお姉さんと意気投合してカラオケに行って、徹夜で帰りの便に乗ったんだっけ、なんてどうでもいいことも思い出したり。
今回の屋台はラーメンでも焼き鳥でもない、軽食とドリンクを提供する可愛いお店!
前世見た屋台やキッチンカーを参考に、アリスちゃんと一緒に作ったポプリの花飾りやクズ魔石の飾りをつけてロマンティックに整えて。香るのは豚骨の匂いではなく花とフルーツと新鮮な木の香り。
そのうえ、この屋台にはクリフォードさんとシトラスさんという魔術師もいる。
冷蔵庫なしにひえひえのドリンクの提供も新鮮なフルーツの提供もできるのだ!
フルーツはシトラスさんが朝からラメル商会の人と一緒に市場に行って選んだもの。
新鮮かつ少し潰れていたり傷が入ったりして安いものをまとめ買いしてキンキンに冷やしてくれた。お酒用のジョッキに入れたフルーツポンチ完成にゃ!
「昼からきゅーっと……はあ……最高にゃぁあ……」
――おっと。前世の昼からビールを飲む快感をおもいだしてしまったにゃ。いけない。
きっとキンキンの一杯で喉を潤すのは冒険者の皆さんにはたまらないだろう。
そしてそして、新作のハンバーガー!
ネモリカは魔物がたくさん手に入る。それはもう、牛肉っぽいやつも豚肉っぽいやつもいっぱい。ちなみにこの世界では原則牛と豚は食べない。牛肉と言われるのはミノタウロス系の魔物の肉で、豚肉と言われるのは勿論オーク系のお肉だ。鶏肉はコカトリス系のお肉なのでネモリカはお肉がいっぱい!
ちなみに牛は家畜として牛乳を採ったり農耕の手伝いをさせるために飼われているのだけれど、前世の世界で言う『豚』はそもそも家畜化されていないようだ。
本物の牛肉も鶏肉も、家畜をやむなく処分するときに食べるくらい。だからあまり美味しくない、無理に肉食用に育てる理由もないという感じらしい。まあ魔物が溢れてるしにゃ。
他の地域では普通に家畜として食べられているともいうけれど、仔猫の行動圏内では未観測だ。
閑話休題。話はハンバーガーに戻る。
間に挟むハンバーグは、取れたてミンチの魔物肉をガガッとハンバーグにして、それを『ベーカリーかささぎ』から仕入れたセサミパンの間に茹で卵(これは鶏卵にゃ)と、歯ごたえが面白いしゃきしゃきの薬草をサラダ菜代わりに挟んで。
最後にじゅわっとケチャップを入れたら、すっごくやみつきのハンバーガーになるのだ。
ちなみにこのケチャップ、ポーション入りにしたらとっても美味しい。
特に塩にポーションを数滴かけてから煎りしたものを混ぜると、うまみが効いてすっごく美味しいのだ! 美味しいけど、できない!
ポーションを入れられない理由は――ここがスレディバルではないから、だ。
スレディバルなら多少効果が出ちゃっても、町の人たちの健康寿命が延びたりする程度で特段目立たない。私がこっそり広めたラジオ体操のお陰かもしれない!と、クリフォードさんが適当に言えば「そんなものか……」になる。旅人が多少摂取しても「雰囲気のいい宿場町に泊まったから元気になったな!」という程度の認知バイアスが働いてくれる。
しかし本業冒険者の皆さんが集うネモリカは別だ。コンディションがそのまま日々の成果に直結するお仕事をしている人々がポーション入りメニューを食べ、皆一律に効果を感じたならば気のせいでは済まなくなってくる。ダンジョン攻略の冒険者の成績は全国の冒険者ギルドで集計されるので、いきなり好成績の冒険者が増えたら、そりゃ理由を探られる。
すると芋づる式に『ねこねこカフェ』の屋台にたどり着き、そして今はいい感じにごまかしているスレディバルの人々の健康に注目され……そして珍しい聖猫族ののらねこミルシェットの存在が、注目すべきものとなってしまっては……密造がバレ……。
『ねこポ』ゲーム内と同じように、聖猫族が絶滅する未来に繋がってしまう!
というわけで、完璧なやみつきケチャップは諦めて、ハーブ塩で素材の味を生かした感じに調整してみたのだった。無念。
そしてもちろん、うちばかりが儲けても問題だ。
元々の飲食店とは競合しないものだけを作るべく、冒険者向けのハニトーみたいなのは作らないし、お酒も提供しない。
そんなこんなで気をつけつつ周りとの和を大事にしながら、出張店舗は営業しているのだった。
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